「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?plus

第310回

【臨時】本コラム終了と新コラム開始のお知らせ

StrateCutions (ストラテキューションズ)グループ  落藤 伸夫

 



本コラム「事業性評価が到来!あなたは資金調達できますかplus」は本号をもって終了、10月から新コラムをスタートします。これまでのご購読、ありがとうございました。新シリーズのご購読を期待しています。



本コラムの目的及びコロナ時期の対応

コラム「事業性評価が到来!あなたは資金調達できますか?」は2015年に金融庁が「事業性評価」を提唱したことを受け、2017年(平成29)1月にスタートしました。

金融庁の意図は「金融機関は事業性評価を行って頑張る中小企業を応援するように」との声掛けと思われますが、では、それを金融機関が実行できるか?簡単ではなかったことは、歴史が証明しています。


金融検査マニュアルで義務化されたスコアリング(客観性のある指標)をもとに統計的に検証された基準に照らし合わせて下した「融資は難しい」との判断を、金融機関が既に手にする定性情報・定量情報だけをもとに「この企業は実は事業性がある、融資は可能だ」と覆すことは、とても難しかったのです。

では何が必要か?企業から「是非、我が社の事業性を評価してもらいたい」との立候補と情報提供が必要と考えました。これをお知らせする目的で、本コラムはスタートしました。


2020年から新型コロナウイルス感染症蔓延対策としてゼロゼロ融資や政府系金融機関の特別融資などが設けられたタイミングでは将来を見越した声掛けを行いました。

コロナ禍が終息すると特別制度も終了してしまうが、少なからぬ企業が財務体質を劣化させてしまっているため資金調達(借換を含む)が非常に困難になると予想されるので、事業改善に取り組むことと、金融機関とのコミュニケーションを密にするようお勧めしたのです。


2024年1月から題名に“plus”を加えて、金融機関の皆さん(中小企業融資に関わる担当者・役席者)を対象とする記事も発出するようになりました。

コロナ禍の影響から脱することが難しい、しかし持続化・回復への意欲が強く、地域やサプライチェーンで役割を果たす企業を支援するには、企業からの声を待つだけでなく、金融機関から「探しに行く」ことが必要だと考えたからです。



事業性評価に何かを加える必要があるとの意識

このような記事の発出を続けながら、筆者の心中には一つのわだかまりが生まれていました。「事業性評価を中小企業と金融機関に勧めることが、今、一番必要なことなのか?」ということです。

事業性評価が不要になった訳ではありません。先ほども申したように、苦しい状況下にありスコアリングでは芳しい点数をあげられなかったものの持続化・回復を目指す企業を金融支援するには、事業性評価が絶対に必要です。


但し、事業性評価だけで金融機関が「融資できる」と判断するのは難しい時代になってきました。コロナ禍で売上・利益が大きく減少する中、ゼロゼロ融資などのコロナ特別保証あるいはコロナ特別貸付を活用して倒産を回避したものの、今でも売上・利益を十分に回復できていない企業が存在します。

これら企業が大幅な債務超過に陥っている場合、仮に企業側から情報提供があっても事業性評価で融資可能と判断することは難しいのです。


ではこのような企業に光明はないのか?中小企業庁は令和6年9月に「今後の中小企業経営への提言及び中小企業政策の方向性」を提示、中小企業には「稼ぐ力」を向上させて日本経済拡大循環の環となるよう期待を示しました。

稼ぐ力を向上させる方法の一つとして「経営力の強化」を、当該文書第3項「中小企業経営者に向けて(経営者への応援メッセージ)」に明示しています。一方で第3項には後半部分があり、筆者はそこでは「共創」がキーワードだと感じました。

「稼ぐ企業(我が社)を企業が金融機関と共創していく」、「地域活性化に貢献する企業を行政などと共創していく」、「事業を通じて社会的インパクトを起こす企業を地域の中核企業と共創していく」ことなどが勧められていると感じたのです。


今後、スポットライトを当てるべきは、こちらの「共創」であって、事業性評価はそれを実現していく歯車の一つと考えました。このため本コラムを終了し、次に共創をテーマとするコラムをスタートすることにした次第です。

「共創型金融の時代!あなたはビジョンを描けますか?」創刊号は来週月曜日の発行予定です。

皆さまのご購読をお待ちしています。




本コラムの印刷版を用意しています

本コラムでは、印刷版を用意しています。印刷版はA4用紙一枚にまとまっているのでとても読みやすくなっています。印刷版を利用して、是非、資金調達する方法をしっかりと学んでみてください。


<印刷版のダウンロードはこちらから>




【筆者へのご相談等はこちらから】

https://stratecutions.jp/index.php/contacts/




<日常営業や事業性評価でやりがいを感じる!企業支援のバイブル>

https://www.amazon.co.jp/dp/B0DYDL46H6/




なお、冒頭の写真はChatGPTにより作成したものです。

今回の作画ではChatGPTさんは、看板についてどうしても指示を守りたくないようでした。何度お願いしても訂正されないか、別の部分まで変えてしまって全体的にレベル感が下がってしまうのです。これもまた個性かなと思い、中でもベストな絵を掲載した次第です。

 

プロフィール

落藤伸夫(おちふじ のぶお)

中小企業診断士事務所StrateCutions代表
合同会社StrateCutionsHRD代表
事業性評価支援士協会代表
中小企業診断士、MBA

日本政策金融公庫(中小企業金融公庫~中小企業信用保険公庫)に約30年勤務、金融機関として中小企業を支えた後、事業改善手法を身に付け業務・経営側面から支える専門家となる。現在は顧問として継続的に企業・経営者の伴走支援を行っている。顧問企業には財務改善・資金調達も支援する。

平成27年に「事業性評価」が金融庁により提唱されて以来、企業にも「事業を評価してもらいたい。現在の状況のみならず将来の可能性も見越して支援してもらいたい」との意識を持ち、アピールしてもらいたいと考えて『「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?』コラムを連載(2017年1月スタート)。当初は読者として企業経営者・支援者を対象していたが、金融機関担当者にも中小企業の事業性評価を支援してもらいたいと考え、2024年1月からは『「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?plus』として連載を再スタートさせた。

現在は金融機関職員研修も行うなど、事業改善と金融システム整備の両面からの中小企業支援態勢作りに尽力している。

【落藤伸夫 著書】

日常営業や事業性評価でやりがいを感じる!企業支援のバイブル

さまざまな融資制度や金融商品等や金融ルール、コンプライアンス、営業方法など多岐にわたって学びを続けながらノルマを達成するよう求められる地域金融機関渉外担当者が、仕事に意義を感じながら楽しく、自信とプライドを持って仕事ができることを目指した本。渉外担当者の成長を「日常営業」、「元気な企業への対応」、「不調な企業への対応(事業性評価)」、「伴走支援・経営支援」の5段階に分ける「渉外成熟度モデル」を縦軸に、各々の段階を前向きに捉え、成果を出せる考え方やノウハウを説明する。

Webサイト:StrateCutions

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