「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第110回

コロナ特別短期貸付の提案

落藤 伸夫 2020年4月20日
 


新型コロナウイルス感染症による打撃を緩和すべく政府は日本政策金融公庫や信用保証協会を活用して中小企業の資金調達を支援していますが、申込が殺到したため実際に資金を受け取れるのが遅れているという声を聞きます。申込みは増加の一途なので、何らかの改善がなされないと、この傾向は更に悪化するでしょう。

この状況下、4月14日の日本経済新聞は『「緊急事態」長期化警戒 「3カ月で事業不安」3割強 雇用・資金、過半が要望』と題する記事を掲載しました。「3カ月」とは非常に重要な数字です。過去、リーマンショック時でも東日本大震災時でもインシデントから約3カ月後から企業倒産が顕著に増加しているからです。コロナ禍を乗り越えるには、企業が危機的事態に陥る前に資金的支援の手が差し伸べられることが非常に大切です。今回は、その対処法について、筆者から一つの提案を提示します。



特別短期貸付

「新型コロナウイルス感染症特別短期貸付(以下、「特別短期貸付」といいます。)」を提案します。


・資格:中小零細企業(個人事業者を含む)

・金額:1億円または月商(年商/12)6月分以内(別枠)

・金利:なし(⑥で説明する分割弁済時は軽減利率)

・期間:1年間(公庫利用実績ある場合)

・返済:返済の必要なし

・更新:1年後にコロナ禍影響が残る場合は同条件



解説

特別短期貸付の主眼は審査期間の短縮化です。現在の「新型コロナウイルス感染症特別貸付(以下、「旧特別貸付」といいます。)」は既存の貸付制度にコロナ禍の影響を受ける等の要件が加わる場合には特別枠が使えるという仕組みなので、一般の貸付よりも審査期間が長くならざるを得ません。これを防止するため、既存の制度とは別制度として設けたのが「特別短期貸付」です。


① 資格

旧特別貸付と同一とします。それ以外まで広げると、今まで以上に審査期間がかかるからです。


② 金額

一般貸付及び旧特別貸付とは別枠とし、既に当該枠を使い切った企業でも利用できるものとします。

旧特別貸付では制度として上限額が設けられていますが、全ての申込企業が上限額まで必ず借り入れられる訳ではなく、公庫による審査があります(つまり審査期間がかかる)。特別短期貸付では1億円または月商(年商/12)6ヶ月分以内のいずれかの条件範囲で申込金額通り貸し付けます。


③ 金利

無利子とします。


④ 期間

これまでに公庫利用実績ある企業は1年間とします。利用実績のない企業は半年間、起業から間もないため決算申告が未済の企業には3ヶ月間といった期間を設けることも可能です。これら措置は、慎重な審査に時間をかけると企業を棄損してしまう可能性があるので、一旦は貸し付けて、必要な審査は更新時に行う(それまで先送りする)という趣旨です。


⑤ 返済

返済の必要ない資本金のように使える資金とします。


⑥ 更新

旧特別貸付で設けられていた売上減少などの要件は特別短期貸付では付しません(審査期間短縮のため。また、全ての事業者が与れる特別措置として)。但し1年後には旧特別貸付と同じ要件が付され、満たす企業だけが同条件で更新可能とします。

更新できなかった(1年後にはコロナ禍の影響が軽減されていると認められる)企業は条件変更して、10年以内の分割弁済に切り替わります。


⑦ 旧特別貸付との関係

特別短期貸付は旧特別貸付とは別枠とします。旧特別貸付の利用者・申込者のうち特別短期貸付への移行を希望する者には対応することとします。


⑧ その他

期限において、公庫から融資を受ける資格を確認できない(例:起業後一年未満で決算申告していない者が特別短期貸付を利用し、期限までに廃業したため事業実態を証明できない)者などは当初から無資格者として期日一括返済とし、それまでの金利も払います(それを許容する旨の念書を差し入れ)。



特別短期貸付は、既存の貸付制度とは異なる概念体系として審査の劇的短縮化(3日〜1週間以内目安)を目指します(期間=1年間は要件チェックを1年間先延ばしする趣旨)。「資金調達を申し込んだが間に合わない」企業が生じないよう、企業にとって使いやすく、審査にパラダイムシフトを持ち込む制度の創設を切に望みます。




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本コラムでは、印刷版を用意しています。印刷版はA4用紙一枚にまとまっているのでとても読みやすくなっています。印刷版を利用して、是非、資金調達する方法をしっかりと学んでみてください。

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なお、冒頭の写真は写真ACからfujiwaraさんご提供によるものです。fujiwaraさん、どうもありがとうございました。





 
 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。


HP:StrateCutions

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