「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第190回

事業環境の変化を把握する

落藤 伸夫 2021年12月20日
 



前回、コロナ禍により売上が減少した理由として大きく二つ、行動量の減少と事業環境の変化が挙げられるとご説明しました。今までの主な顧客が転出していなくなったなど分かりやすい状況でもない限り、どちらが主たる理由なのかが分からない場合が多いでしょう。であっても、主たる理由を解明する努力は大切です。行動量の減少と事業環境の変化では、採るべき対策が全く異なるからです。


行動量の減少の場合には「行動量を元に戻す」が答えです。一方で事業環境変化の場合、以前の行動が効を奏するとは限りません。環境がどのように変化をしたかを把握して対策を考え、それに基づいた試行錯誤が必要です。行動よりも考えることのウエイトが高くなります。売上減少の理由が行動量の減少なのか、事業環境の変化なのかのどちらであるかを解明するとは、今後に必要なのは「足で稼ぐ」なのか「頭で稼ぐ」なのかを見極めることだと言えます。今回は、現状をどのように把握してみるか、考えてみます。



世界で発生している変化をリサーチする

事業環境の把握には「座学」と「フィールドワーク」の両方が必要であることを、前回にお話ししました。まず座学について。これは大きく、インターネットや書籍等による勉強と、次にご説明するフィールドワークなどで取り入れた情報を元にした分析に分けられます。


インターネットや書籍等による勉強には「今、周囲や世界でどんな変化が起きているか?」のリサーチが含まれます。例えばコロナ禍でテレワークを余儀なくされ、少なからぬ企業がこれを恒常化しました。稼働日の半分は会社、半分は在宅として狭い事務所に引っ越した会社や、テレワークを前提に地方に移転した会社もあります。これら企業や従業員を相手にする企業は、状況や影響度などを、しっかりリサーチする必要があります。


世界に起きた変化は見えること、コロナ禍に関係あることだけに限らず、間口を広げてください。例えばテレワークの浸透で日本では官民共にIT活用が大幅に遅れていることが明らかになり、今後の取組如何で自社のパフォーマンスが大きく変わる可能性があります。また、トレンドにも注意を向けましょう。米中摩擦の今後の影響は、事実上全ての企業に影響を及ぼすでしょう。


世界は今、大きく変化しています。売上減少の原因が行動量の減少にあると分かっている場合で、行動量を元に戻せば売上が回復する場合であっても、長い目で見たら事業環境変化の影響を受ける企業は少なくないと考えられます。今、インターネットや書籍などで様々な情報が盛んに発信しています。是非、リサーチしてください。



フィールドワークする

周囲・世界の変化をリサーチしたら、次はフィールドワークです。顧客や市場、競合企業やサプライチェーンで協力する企業、その他の関係者の行動や思考が変わっていないか、どう変わったかなどを確認するのです。


できるだけ直接に観察し、話を聞くことがポイントです。普段に訪れるのは顧客や取引先などがメインだと思いますが、時には競合企業やサプライチェーンの先(上流・下流)企業なども観察しましょう。インターネットや書籍、テレビ番組などで取り上げられた企業を直接に訪問(実際に面談・視察できる場合の他、外から見るだけの場合もあるでしょう)して生の情報を収集しましょう。



分析する

世界の変化をマクロ的見地で把握した後に顧客やその他の関係者をフィールドワークしたら、また座学に戻ります。今度は分析です。多くの企業・経営者が、この「分析」をしっかりと行っていません。しかし行わなかったら、これまでの努力はほとんど実を結びません。


まず、以上の情報を元に顧客や競合について「今、どこで何を手に入れているか?(行動)」や、「何を基準に意思決定しているか?(思考)」、その他の気付きを言語化・図式化します。競合先についても行い、当社を加えたのが3C分析(自社:Company、顧客:Customer、競合:Competitor)です。顧客や競合、その他の関係者に起きた変化が自社にどんな影響を及ぼすかは、ビジネスモデル俯瞰図として図式化することで分かりやすくなります。以上をもとにSWOT分析(強み:Strongness、弱み:Weakness、機会:Opportunities、脅威:threats)すると、状況が的確に整理されます。


コロナに翻弄された令和3年でしたが、落ち着きを取り戻しつつ年末年始を迎えられそうです。これからどう取り組むかが今後の分かれ道です。年末年始の休みに腰を据えて環境変化を把握するよう、お勧めします。




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なお、冒頭の写真は 写真AC から 源五郎 さん ご提供によるものです。源五郎 さん、どうもありがとうございました。





 
 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。


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