「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第199回

事業再構築を改めて考えてみる

落藤 伸夫 2022年3月7日
 




オミクロン株の爆発的な蔓延が止まりません。このような状況下、顧客・需要が大きく消失してしまった業種・業態に属するある企業は、事業を根本的に変える「事業再構築」を考えるかもしれません。一方で「今回の不況は今までよりも酷いが、今までのように『やり過ごす』方針でなんとかなるのではないか」という企業もあるようです。今日は、この点について考えてみます。



ウイズコロナ時代を生き延びるために

今、少なからぬ企業がコロナ禍の終息を願いつつも「ウイズコロナ」への対応が現実的と感じているようです。現在「まん延防止等重点措置」において「(1)認証店以外の飲食店に対する営業時間短縮要請や酒類の提供を行わないよう要請など、飲食店等に対する制限等」、「(2)施設の使用制限等について」、「(3)イベント等の開催制限について」、「(4)外出・移動について」、「(5)職場への出勤等について」、「(6)3つの密の徹底的回避などその他」が要請されています。


これらが完全に撤廃され安定状態に入るのが「アフターコロナ」と考えると、「まん延防止等重点措置」が継続している間、あるいは発令(緊急事態宣言を含む)はされていないが、コロナ感染症が下火にはならないので要請が大なり小なり継続している、それを人々や事業者が受け入れている状況が「ウイズコロナ」と言えそうです。つまりコロナ禍以前のようには事業は行えない状況です。


このような状況で事業を行うため、かつ利益が出せる(損失を最小限に止める)ため多くの企業は、事業を変えることを検討・実施しています。例えば以前はビジネスパーソンをメイン顧客として活況を呈していたビジネス街駅前にある飲食店は、ウイズコロナが継続して今後も当分、以前ほどの顧客数が見込めないと考えて惣菜製造小売業に転業しました。営業場所(顧客・市場)を変更した企業もあります。「事業再構築」を果たしたのです。


一方で、同様の状況で事業再構築を行わず「不況をやり過ごすため、じっと耐える」企業も少なくありません。売上が減少しても利益を出せる、あるいは赤字を最小限に食い止められ、キャッシュの流出を最低限に抑えられ、この状況が数年続いても債務超過にならない企業の中に、この方針をとっている企業が見受けられます。



コロナ禍の特殊性

事業再構築を模索すべきか、それとも「やり過ごす」のも選択肢に含められるか?ポイントの一つに、今回のコロナ禍の特殊性があると考えられます。


これまでの景気後退の多くは、景気拡大(あるいは過剰な進展形でのバブル)の調整という意味合いがありました。景気循環と言われるように、上の次は下、その次はまた上という流れで、それゆえ「ひどい不況でも、じきに景気・事業環境は、以前の状況に戻っていく」と期待できたのです。


一方で、今回の不況は景気循環が原因ではないことに注意が必要と思われます。疫病により人々の行動が変わった(変えるよう強制された)ことが原因です。変容した行動の一部(例:マスクをすること)は不都合・不自然なのでコロナが過ぎれば元に戻ると考えられますが、一部(例:テレワーク)は都合の良い面があると気付かれました。この状況が2年以上も続いたので定着化する可能性があります(実際、テレワークを前提に本社を地方に移転させた大企業もあるほどです)。


また日本ではビジネスシーンでのIT利用が遅れており低生産性や不況への脆弱性に繋がることがコロナ禍により明らかになり、今、国もIT補助金を推進するなど対応しています。取組を早く始めた企業は有利性を享受できるかもしれません。


このように考えると、「不況が過ぎ去れば元に戻る」との期待が裏切られる可能性が理解できると思います。じっとして不況が過ぎ去るのを待っていたのでは、新たな好況期においては全く違うビジネス環境となっており、それに乗ることができず、振り落とされてしまうかもしれません。そうならないように、そして左で検討したように長続きする不況を耐えるためにも、事業環境の変化を読み取り、それにマッチした、今後を先取りした取組を目指す方が得策な場合が多いと考えられます。


事業再構築を模索した方が良いか、「じっと耐える」でも道が拓けるのか?もちろん唯一の正解はありません。企業により、事業環境により「じっと耐える」でも将来が拓ける場合もあると思います。しかし状況をよく観察すると、事業再構築に取り組んだ方が道が拓ける場合が多いように思われます。


「今からでも検討したい。誰かと相談したいな」と思われるなら、地域の「よろず支援拠点」あるいは取引金融機関などにご相談ください。StrateCutionsでもご相談に乗っています。




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なお、冒頭の写真は 写真AC から 月舟 さんご提供によるものです。月舟 さん、どうもありがとうございました。



 
 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。


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