「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第94回

BCPで自衛する

落藤 伸夫 2019年11月25日
 


令和元年もラストスパートに入った感じです。皆さんにとって、今年はどんな年だったでしょうか?筆者は、夏から秋の台風災害がとても印象に残っています。ここ数年、「ゲリラ豪雨」による被害が大きくなっていた中、秋口に入った頃には「今年は、ゲリラ豪雨は少なかったようだ」とホッとしていました。しかしその後に襲った台風被害はそれを上回る、想像を遥かに超える被害をもたらしました。今も、その被害に苦しみ、復興に力を入れておられる方も多いでしょう。皆さまの健康と、一日も早く日常を取り戻されるようお祈りしています。

そのような中、企業・経営者を支える中小企業診断士として何に取り組むべきか?以前にもお伝えした通り、BCPをお勧めしたいと考えています。これまで検討して来なかった企業も、真剣に取り組むべきタイミングではないでしょうか。台風被害への支援策をまとめたシリーズの締め括りとして、今回はBCPについて考えてみます。


BCPとは

BCPとはBusiness Continuity Planの略語で、日本語では「事業継続計画」と称されています。文字通り、企業が自然災害や大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇しても、損害を最小限にとどめながら事業を継続できるよう、あるいは早期復旧を目指せるようよう、平時に行うべき活動や緊急時における事業継続・復旧に向けた方策・手段等を予め計画しておくことを意味しています。

緊急事態が発生した時にすぐに有効な手を打つことがきでないと、企業は、業績に大きな影響を受けることになります。特に中小企業は経営基盤が脆弱なので、存続の危機にまで追いやられることも少なくありません。そこまで行かなくても、一旦は事業を縮小しなければならなくなって大切な従業員を解雇しなければならない(縁が切れてしまう)などの状況に追い込まれる可能性もあります。このような事態を避けるために平常時からBCPを準備しておくのです。BCPは経営者の心の拠り所になるのみならず、従業員や取引先(金融機関を含む)にも大きな安心材料になり、高い評価につながります。


BCPの体系

BCPには唯一無二の決まりはありませんが「これくらいは盛り込んだ方が良いだろう」という提案が、中小企業庁のHPから入手できます。興味ある方は是非、ご覧になってください。
https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/contents/bcpgl_download.html


BCPへの取り組み順序

BCPは、以上のように、企業を守るために必要な要素が体系付けられたもので、これをしっかりと網羅した内容にしておくことで、いざという時に慌てずに手抜かりなく対処することができるようになります。

一方で、BCPへの取組の冒頭から体系を強く意識する必要はないのではないかとも考えています。全て網羅するBCP計画を策定するのは、そう簡単ではありませんから、かなりの期間(中小企業では数ヶ月も!)にわたって作業を進めることになります。この時、BCP計画の最初から作成していくと、途中で投げ出してしまう可能性があります。そうならないよう、企業にとって一番大切なポイントから作成するのが得策と思うのです。

ある企業は、日頃の資金繰りについて手順をまとめるところから始めました。入金口座と出金口座が違うので、引落や支払いのタイミングで入金口座から出金口座へお金を移しておかなければならないのです。入金口座も出金口座もそれぞれ複数口座があり、BtoBビジネスの企業なので動かすべき金額はかなりの額に及ぶので、作業は簡単ではありません。一方で、これを間違えると取引先の信用を失いかねないのです。

この作業について当社では、財務を担当する社長が行っていました。では、災害等で社長が動けなくなった時、あるいは社長が事故等に出会った時、この作業を誰が代わって行うのか?この会社では社長の弟が取締役を務めていましたから、当然のこととして、この取締役が行うことになっていました。「では『いざという時はよろしく』で済むように、手順や口座ごとの特性等について伝えてあるのですね」とお聞きすると、それは徹底していなかったそうです。このため、この作業から進めることにしました。「一番気になっていたところからBCP計画作成に着手したことで、いざという時でも安心できると共に、普段の作業を言語化したことで見直すことができ、手順を改善できた」との感想を頂きました。


BCP作成で関係者の気持ちを一つにする

BCPへの取組は、もちろん完成に大きな意義がありますが、それまでは作業に耐えるだけかというと、そうではないと感じています。BCP作成に向けて関係者(中小企業では多くの場合、経営陣だけでなく社員も)が力を合わせることで「厳しい状況でも、この船(会社)で頑張っていこう。船を大切にして航海を続けよう」という気持ちが芽生えてきます。実際、その効果を目指して、BCP策定の取り組みを始めるようお勧めしています。



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本コラムでは、印刷版を用意しています。印刷版はA4用紙一枚にまとまっているのでとても読みやすくなっています。印刷版を利用して、是非、資金調達する方法をしっかりと学んでみてください。

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なお、冒頭の写真は写真ACから紺色らいおんさんのご提供によるものです。紺色らいおんさん、どうもありがとうございました。
 
 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。


HP:StrateCutions

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