「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第129回

(人混みを避けて)街に出よう

落藤 伸夫 2020年9月14日
 



コロナ禍対策として、ある経済誌に「銀行が雨の日に初めて傘を貸した!」と表現されたほど、今までなかった資金調達支援が行われました。但し「よかった!」で済ますと後に困った事態に陥る可能性があります。雨の日に傘を借りられた後には、事業改善に取り組むことが重要になるのです。

その話をすると「コロナ禍が今後にどんな展開になるか分からない今、改善計画を立てるのは難しい。そもそも改善のアイディアも浮かばない。どうすれば良いのか?」という質問をもらいました。今日は、この点について考えてみようと思います。




コンサルタントの2つのパターン

まず、事業改善策を提案する専門家には2つのパターンがあることをご紹介しましょう。一つは、企業が必要とする改善策を一から検討する専門家と、自分が提供できるソリューションを策として提案する専門家です。「自分が提供できるソリューションを策として提案するだなんて我田引水的だな。そんな専門家はいるのか?」実は、ほとんどの専門家はこちらのパターンです。

この現象は、医学で考えると納得できると思います。医者は「内科、外科、皮膚科・・・」と専門分野に分かれており、患者は「皮膚に炎症が生じたので皮膚科だろう」と判断して病院を訪れます。そこで軟膏をもらって1年かけてやっと治した後、外科の先生に聞いたら「その炎症は、私に言ってくれたらメスで切除して1ヶ月で治ったのに、跡も残らずに」と言われる、などということが往々にして生じます。それと同様に「もっと儲かる会社になりたい」と考えた時に、税理士に相談したら経費節減を、営業コンサルに相談したら営業マン教育を勧められるという流れになります。

一方で、事業改善を勧める筆者は、企業が必要とする改善策を一から検討します。「一から」と表現したのには、実は様々な意味が込められています。しっかり企業分析して企業の現状とその原因を見極めて提案に繋げていくという意味だけでなく、企業の強み・弱みや事業環境の機会・脅威を踏まえた取組みを選択するという意味もあります。資金調達が絡む場面では効果の即効性も重要です。資金調達すべき時には目に見えた効果が現れるような方法を選択する、という場合もあります。




まず根本原因を探ってみる

「因果関係や強み・弱み、効果の現れ方など考えるべきことが多いのでは、適切な改善手法を見つけるのは難しいな。」そう考えるからでしょう、最初から特定分野の専門家の扉を叩く経営者がほとんどです。一方で、根本的な原因分析から始めた方が豊かな成果が得られる場合もあります。例えば赤字企業の課題解決として、経費削減と売上増大のどちらが適切でしょうか?これまで徹底的な経費削減を行う一方で、営業面では一人当たり売上高が業界平均より低いなら、今後は売上増大に取り組むことがポイントでしょう。経費削減を続けたのでは、成果を出すことが難しいのは誰の目から見ても明らかです。




街で事業改善策を探し出す

「売上増大がポイントと分かったからと言って、すぐに頼むべき専門家が見つかるとも限らない。広告の専門家もいれば、営業マン指導の専門家もいる。どちらを選べば良いのだろうか?」ある意味、それが一番難しい選択肢です。会社を熟知する顧問から継続的に指導を受けている場合には、最適なアプローチを考えてくれるでしょう。顧問がいないなら、自分で探すしかありません。

「お手上げだな!」そんなことはありません。実例を探せば良いのです。他者が採っている策と成果を参考にするのです。他者の観察にはインターネットや図書などもありますが、街で目にする方法もあります。「街ならいつも歩いているが。」何気なく歩くだけでは、課題のソリューションを見つけるのは困難です。例えば「同じ駅前ある2つの書店のうち、1つは繁盛し、他方は閑古鳥が鳴いている。違いは何か?」と考えながら観察してみてください。いろいろな要因が見つかると思います。

「繁盛店は品揃えが良い。それは分かっていることだ。」今の時代、繁盛の秘訣が品揃えだけとは考えられません。他の要素もどんどん探してください。地元に関係した本が多い、目を引くポップがある、週替わりテーマで本・雑誌を紹介するコーナーをイベント化している、「〇〇分野ならあの店だ」と言われこだわりがある、などなどの要素を見つけられるでしょう。このような示唆は、インターネットや図書などでは手に入りません。実感してみるのが一番です。事業改善のタネを見つけ、自社に最適なアプローチを選べるようになるため、(人混みを避けて)街に出て観察することをお勧めします。






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なお、冒頭の写真は写真ACからcheetahさんご提供によるものです。cheetah さん、どうもありがとうございました。




 
 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。


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