「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第206回

OODAでどのように考えていくか

落藤 伸夫 2022年4月25日
 



現在、多くの中小企業にとって事業環境が急速に変化しており、今までの「景気循環(景気は上がったり下がったりしているので、たとえ不調な時期があっても耐え忍べば以前のような事業が可能になる)」ではなく、不可逆に変化しているので対応していかなければならない可能性があることを、前回、お話ししました。変化に対応しようとする時、PDCAだと漸進的な変化(カイゼン)となるため、飛躍も可能にするOODAによる思考がポイントになることも、お話ししました。今日は、OODAによる思考でどのようにして飛躍を成し遂げられるのか、考えていきたいと思います。



OODA思考

変化への対応として、これまで主流だったのはPDCA(Plan、Do、Check、Act)です。この思考法は、品質改善やコスト削減等の大きな目標の実現を目指す時、計画を立てて実行、目標との差異を検知して対策を立てていくアプローチで、これを最大限に活用した日本産業界はJapan As No.1と言われるほど大きな成果を生み出しました。


一方、最近に脚光を浴びているOODA(Observe(観察)、Orient(方向付け)、Decide(判断)、Action(行動)は戦闘機の空中戦で活用される思考法がベースです。敵味方が空中で対峙した場合、「さっき対峙で悪かったところを改善しよう」と考えることなく、「今回の対峙で状況を的確に捉え、最善と考えられる方法を選ぼう」と考える思考法です。そう考えることで、漸進的なカイゼンではなく飛躍できる可能性が生じるのです。


では、OODA思考を取れば、必ず飛躍できるのでしょうか?必ずしも、そうではないと考えられます。何を目指すのかにより、OODA思考に基づいていてもまるでPDCA思考に基づいている場合のように、飛躍ではなくカイゼンを行ってしまう、ということがあるからです。ポイントは最初の“O”2つ、すなわちObserve(観察)してOrient(方向付け)する時だと考えられます。


これを例で考えてみましょう。ある製造業者が、市場が収縮に向かう中、売上を維持・向上させようとする場合です。その製造業者が従来、「品質で顧客の信頼を得て固定客をキープ、口コミで顧客が拡大していく」を目指していたら、品質向上のためPDCAサイクルを回しているでしょう。「売上が拡大しない・減少してしまう」という現象を見た時(Check時)、「次はもっと品質を向上させよう」と考えて、次の打ち手を考えていきます。


一方でOODAループの場合には、Observe(観察)の次にあるOrient(方向付け)において、高品質路線に則る必要はありません。「品質では売上に繋がらないなら、次には価格で勝負する」という方向付けでも良いのです。にもかかわらず関係者が意識してか無意識でか高品質路線から離れられないと、そもそも製品への需要が個人の生活変化等により激減している場合は、売上・利益の維持・向上に繋がらないかもしれません。OODA思考とて、使い方を誤れば飛躍できないのです。



OODA思考で飛躍するためには

では、どうすれば飛躍できるのか?OODA思考の活用時には「思考の枠」を取り払うことが大切です。これまで会社のアイデンティティが品質だったとしても、その枠を外してみましょう。品質の代わりに価格を、それでもダメだったら「付加的サービスを強化する」、それでも解決に至らなければ「ブランド作りする」、それでもなら「固定客として囲い込みをする」と、どんどん思考を拡散していくのです。「今作っている製品では市場を広げられないので、他の製品も手掛ける」や「いっそ、利幅の大きいサービス業に転換する」と考えることもできます。


OODAが飛躍に繋がる可能性は、このように、変化を目指す取組において、状況に応じて制約を外し、今までとは違った方向を設定できるか否かにかかっています。現状打破を目指す時、PDCA思考ではなくOODA思考を使うのは「必要条件」です。しかし十分条件ではありません。従来の枠から外れてみる、自由な発想が必要です。


「とは言え、我が社は数十年にわたり品質一筋で頑張ってきた。それ以外の方向性は難しい」と感じる経営者も、おられるかもしれません。このような場合、まず顧客あるいは従業員の声に耳を傾けて下さい。顧客や従業員は会社の原理(会社の存在価値についての認識と、それを基にした思考・行動の方向性)について経営陣とは異なる考えを持っている場合があり、新たなアイデアに繋がりやすいのです。コンサルタントなどの第三者に聞く方法もあります。是非、これまでの枠を超えた発想法を手に入れ、会社の飛躍を実現してください。




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なお、冒頭の写真は 写真AC から 77c さんご提供によるものです。77c さん、どうもありがとうございました。




 
 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。


HP:StrateCutions

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