「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第146回

新年度の特別融資は事業性評価となる?!

落藤 伸夫 2021年1月25日
 



コロナ禍の長期化で中小企業が疲弊してしまい、資金調達の必要性が高まっている一方で、特に昨年春・夏に一度は資金調達した企業はキャッシュの流出でバランスシートが毀損してしまい、金融機関にとっては融資しにくい状況にあることは、これまで何度もお伝えしてきました。この状況に対応するためには、融資審査において事業性評価を行う必要があることも強調し、昨年末には日本政策金融公庫が行う「コロナ特別長期貸付」と信用保証を得て民間金融機関が融資を行う「コロナ特別長期保証」を創設するよう提案したところです。


その中で先日、通常国会が開会しました。例年に行われる来年度予算の審議の他に、今回は第3次補正予算の審議も行われます。そこではどんな案が審議されるか?実は既に案が提示されています(以下資料のP.17)。

https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2020/hosei/pdf/hosei3_yosan_pr.pdf

そこでは、今後のコロナ禍対策融資は事業性評価によって行われることが示唆されています。今日は、これについて考えてみましょう。



第3次補正予算に掲げられる制度概要

冒頭「事業目的・概要」に考え方が示されています。

1.コロナ禍により売上⾼が減少した中⼩企業等に対し令和2年5⽉1⽇開始の⺠間⾦融機関による実質無利⼦・無担保、保証料補助制度は令和2年3⽉まで実施

2.今般の経済対策を踏まえ、①中⼩企業等の経営改善等の取組に係る新たな信⽤保証制度の創設、②早期の事業再⽣に向けた取り組みを促す信⽤保証制度を拡充


これに基づいた具体的制度案は、以下の通りです。

1.コロナ禍の影響を受けた中⼩企業等が、⾦融機関の継続的な伴⾛⽀援を受けながら経営改善等に取り組む場合に保証料の⼀部を補助する制度

限度額:4,000万円、保証期間10年以内、据置期間:5年以内、売上減少▲15%、アクションプラン策定等

2.中⼩企業再⽣⽀援協議会や経営改善サポート会議等の⽀援による事業再⽣計画実⾏に必要な資⾦について「経営改善サポート保証」を制度拡充の上、適用

限度額:2.8億円、保証期間15年以内、据置期間:5年以内、売上減少▲15%、事業再生計画を実行等



事業改善・再生計画が切り札になると明示

昨年秋頃から、一度はコロナ特別貸付・保証を利用した企業から「2度目の融資を受けることが難しい」という声が多く聞かれており、主な理由の1つに、企業のバランスシートが毀損してしまったことが挙げられます。企業としては、そうは言っても資金調達しなければ命運が途絶えてしまうので「では、どうすれば良いのか?」と模索していましたが、今までその答えが公式には与えられていなかったのです。


この疑問に答えて本コラムでは、これまでの政府の対応等から「事業性評価が行われるようになる。このため企業は事業改善・改革を目指して事業計画を策定するように。そして計画を実行して、少しでも実績をあげられるように」と、中小企業の皆さんにご提案してきました。一方で政府には「コロナ禍が引き続く中、苦境にある中小企業を金融支援するには事業性評価が不可欠」と指摘して「コロナ特別長期貸付・保証」をご提案してきました。第3次補正予算の制度概要から、本コラムでお伝えしてきた方向性に間違いないことが、今回、正式に表明されたと解釈できます。2度目の融資が受けられなかった皆さん、4月以降に新制度で資金調達ができるように、是非、事業改善等に向けた取組みを始めて下さい。



新制度登場の意味(現制度は廃止?)

今回資料を見ると、もう一つ示唆があります。現制度、つまり表面上は売上減少要件(制度により▲5%もしくは▲15%減少)だけだった(事業計画の策定等が要件とされていない)「⺠間⾦融機関による実質無利⼦・無担保」保証制度は3月末で廃止となる可能性があることです。この推測通り廃止されると、売上減少要件は満たす一方、バランスシートはあまり毀損していない企業(これまで好調で自己資本が厚い企業や、今まで現コロナ特別貸付・保証を利用していない企業)等も、4月以降のコロナ対応制度利用にはアクションプラン等が求められます。とすると、このような企業は、新年度の必要資金でも現制度で借入した方が良さそうです。3月末は申込が殺到する可能性があるので、早めの対応が望まれます。


新制度は「現制度では2度目は難しい」と嘆く企業の救いの手となりそうです。一方で、現制度の方が都合が良い企業もあるでしょう。きめ細かく情報収集して、早めに対応するようお勧めします。




<本コラムの印刷版を用意しています>

本コラムでは、印刷版を用意しています。印刷版はA4用紙一枚にまとまっているのでとても読みやすくなっています。印刷版を利用して、是非、資金調達する方法をしっかりと学んでみてください。

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なお、冒頭の写真は写真ACから FineGraphics さんご提供によるものです。FineGraphics さん、どうもありがとうございました。



 
 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。


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