「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?plus

第248回

朝令暮改に適した組織にするには

StrateCutions (ストラテキューションズ)グループ  落藤 伸夫

 



前回、コロナ禍や戦争による資材高騰などに襲われる危機時には方針・対応を変える朝令暮改が必要になる場合があるとお話ししました。事業環境が激変するので一つの目標に向かって絶えず改善するPDCAでは対応できず、あいまいなVUCAを乗り越えるためOODAが必要となるのです。今日はこの点を深堀して考えていきます。



有名な二つの戦略論

企業が持続・発展のため取り組む経営戦略として、代表例を2つ、挙げることができます。1つ目はハーバード大学ポーター教授が唱道するポジショニング理論で「自社は業界内の競合他社との比較で、どのような製品・サービスを、どのような顧客に、どのように提供していくか(ポジショニング)を重視しながら戦略を定める」というアプローチです。


2つ目は、ユタ大学などで教鞭をとったバーニーが唱道するケイパビリティ理論で「企業の持つ経営資源をどのように活用するか(リソース・ベースト・ビュー)を重視しながら戦略を定める」というアプローチです。両者は一時は「どちらが正しいか」の論争になったようですが、今は「企業の業績は両方に影響を受ける。このため両方の戦略論が現実企業にとって有用である」との結論が得られたとされています。


一方で両者は、実現に向けたプロセスの観点では似通っていると感じられます。例えばポジショニング理論に基づき業界内で特定ポジションを狙う場合に、狙った顧客に訴求できないとか、顧客に自らの希望とは異なるイメージを持たれてしまったなどの理由で望むポジションを取れない場合、取れるように的確な広告策をブラッシュアップするなどして対応します。また例えばケイパビリティ理論に基づき自社の資源を最大有効活用できる事業を目指す場合に、既存の顧客が自社の持つ資源を有難がらない場合には、有難がる顧客を探ってアピールして資源の有効活用を目指します。


両者とも期待する成果が出なかった場合、予め定めた方向性を継続するPDCA的な取組を行うという点で似通っていると感じられます。「全く別の方向性の方が良いのかもしれない」といったOODA的な取組ではないのです。



OODAが適用される場合

一方で先行きが不透明なVUCA時代には、ポジションにせよ資源にせよ、予め決めた方向性を死守したのでは望む成果が得られなくなる可能性があります。前提とした状況が変化した場合には、柔軟に考え対応するOODAアプローチが求められます。


但しこのアプローチは、現場の社員からの抵抗にあう可能性があることは、前回に指摘しておきました。彼らからすると上司・経営陣からの指示は大きな負担となるので「朝令暮改には従えない!」という反応を引き起こしてしまうのです。ノウハウや技能の習得に多大な時間や努力が必要となる仕事に従事する従業員からの抵抗が、より強いと感じられます。


これにどう立ち向かえるか?組織にある「特性」を養うことがカギと考えられます。先日、印刷デザイン業企業経営者と話す機会がありました。印刷デザインは高度なシステムを操るノウハウを持った「DTPオペレーター」が担います。小説本やマニュアル本、雑誌等により求められる技能が異なるため、彼らは取扱品目が増えることを嫌う傾向があるとのことでした。しかし印刷・出版業界が縮小する中、それでは会社を維持できません。この状況にどのように立ち舞かえるかを考える中、導き出したのが「タフさとしなやかさ」という特性です。



タフさとしなやかさとは

タフさは「会社を潰さず、社員を路頭に迷わせない。逆に会社を発展させ、社員が豊かで幸せな生活を送れるようにする」との信念(経営理念)を実現する上で発揮されます。しなやかさは「危機や環境変化、お客様の嗜好の変化に柔軟に対応する」で発揮されます。経営者・マネジャー側では朝令暮改になるかもしれませんが、社員側が柔軟に対応してくれることで2輪が噛み合って、立ち直りに向けて会社が動き出していくのです。


「確かに、社員と会社が利益相反ではなく船と乗組員のように同じ方向性にあれば、タフさとしなやかさを兼ね備えられるかもしれない。しかし、当社ではどのように実現すれば良いのだろう?誰かと相談したい」と思われるなら、マネジメントに強い支援者にご相談ください。StrateCutionsでもご相談に乗っています。




本コラムの印刷版を用意しています

本コラムでは、印刷版を用意しています。印刷版はA4用紙一枚にまとまっているのでとても読みやすくなっています。印刷版を利用して、是非、資金調達する方法をしっかりと学んでみてください。


<印刷版のダウンロードはこちらから>





なお、冒頭の写真は 写真AC から KI-TSU さんご提供によるものです。 KI-TSU さん、どうもありがとうございました。


 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。


Webサイト:StrateCutions

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