「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第159回

K字型回復時代に必要なマインドシフト

落藤 伸夫 2021年4月26日
 


先週、ここにきて経済・個別企業の回復が「K字」を描いている、というお話しをしました。新型コロナウイルス感染症の蔓延で人々の行動・経済活動が制限されたことで日本経済ほぼ全分野で大打撃を受けていたところ、今、一部の業種・業態・地域・企業はV字回復を遂げているが他の業種・業態・地域・企業は低迷したままという現象が生じています。業種・業態・地域による差は「不可避的な力が働いている」と解釈できますが、同じ業種・業態・地域でも企業によって差があるのは各企業の中に差が出る要素があると考えられます。今日は、その点について、掘り下げて行きたいと思います。



原因分析と現状把握は必須

同じ業種・業態・地域でも企業により回復の度合いに差がある現象は、外側から察知するのは難しい場合もあります。飲食店や一般消費者向け商店だと、これまでは「順番を待つ長い列ができているか」等で繁盛度合いを窺えましたが、最近はデリバリー販売やインターネット通信販売を利用する企業が人知れず回復を遂げています。ネット上で商売が完結する企業も、業況は外からは見えません。社長の勉強会などで話を聞き「今までで最高の売上・利益をあげた」という話で初めて分かるのです。


こういう社長に共通しているのは、まず「自社不調の原因分析をしっかりしている」ことだと感じられます。「自社の不調はコロナ禍だと決まっているではないか。原因分析など不要だろう。」実は、そうではないようです。それらの社長は、自社の売上不調について、どの店が売れていないからなのか、どの商品が売れていないからなのか、などをしっかり原因分析しています。


そして次に、しっかりと現状把握もしています。「原因が分かれば『問題を引き起こす要因に対処する。もしくは今でも売れている商品を伸ばす』と対策は打てる。それで十分だろう。」そうでもないようです。今売れているのは利益率が低い商品かもしれません。利益率の高い商品も売れていれば経費を回収でき、当該商品からは限界利益を回収できますが、利益率が高い商品が売れない中、利益率の低い商品を「今売れるのはこれだけなので」と力を入れると、どんどんキャッシュが流出するかもしれません。「売上が戻ってきたので良かった。この調子だ」と思っていると、思わぬ結果に陥る可能性があります。そうならないように、しっかりと現状把握するのです。



「それはできない」が敵となる

原因分析し現状を把握した後、少なからぬ企業が隘路にはまります。どのお店の何が売れないかが分かって「これを売ろう!」と考えても、結果がままなりません。今まで通りの発想が、通用しないのです。先例のように採算が取れない場合もあれば、仕入れが困難な場合もあります。少し考えれば思いつくことは概ね誰かが気がついているので、既に厳しい競争が繰り広げられている場合もあります。秀逸なアイデアをネット広告したら、いつの間にか模倣者がいた、ということもあります。


K字型回復の時代、勝ち組に回っている企業は、ここで挫けなかった企業です。そのような企業経営者が「実は問題は社内にあった。それに打ち勝つことがポイントだった」ということが少なくありません。例えば、先ほどの「売れているのは利益率が低い商品ばかり」のモデルとなった現場では、筆者が「一手間をかけて付加価値を高められないか?」と提案したところ、担当者から間髪をおかず「我が社のビジネス・スタイルからすると難しい」と反論されました。10人以上の参加者で筆者の援護射撃をする人はおらず、話はそれで終わったのです。



面倒臭いことをする人が勝つ

「一手間かけて付加価値を高める」という提案に「それは我が社のビジネス・スタイルではない」と答えることの意味は、何でしょうか?その担当者は「我が社を余り知らないコンサルタントに、実情を教えてやらなければ」と感じて発言したのかもしれません。周囲の人たちも同意見と思われます。しかし筆者には「一手間かけて付加価値を高めるなんて面倒臭いことは、今までラッキーなことにやらずに済んできた。今後も、やりたくない」と言っているように聞こえました。



付加価値は「他の人が面倒臭い」と思うことを引き受けることで生じます。CMで「面倒なことは、お任せください。楽をさせて差し上げます」とアピールしているのは、それがベンダーの利益に繋がるからです。「そうか、今はアウトソーシングで楽をする時代か」と利用して「楽ができて良かった」と終わらせるのでは、なけなしの利益を他社に提供するだけで、K字型回復の世の中では負け組にまっしぐらです。「次は我が社が汗をかいて、売上・利益を頂く側になろう。他の人の面倒を引き受けよう」と考えましょう。「面倒臭いを飯の種にしよう」とマインドシフトすることこそが、K字型回復の時代に勝てる組織になる黄金律だと考えられます。




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なお、冒頭の写真は写真ACから acwork さんご提供によるものです。acwork さん、どうもありがとうございました。



 
 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。


HP:StrateCutions

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