
新年、明けましておめでとうございます。
新型コロナウイルス感染症に振り回された令和2年が過ぎ、令和3年になれば光明が見えてくると思ったら、新年早々、緊急事態宣言が発出されました。昨年4月の第1波、8月の第2波をしのぎ、10月には抑え込みに成功したかと思いきや、11月からは再び上昇傾向となり、年末31日には新規感染者が4500人を超え、年が明けて1月6日には6000人を超えました。緊急事態宣言の内容は、昨年春に発出されたものよりもポイントを突いたものになると言われていますが、逆に効果は薄い可能性があるとの指摘もあります。今年もしばらくは、コロナ禍の影響は避けられそうにありません。
では、企業としてはどのように対応できるのか?企業を「変えて」対応することになるでしょう。今まで、リーマンショックなどの経済的インシデントや、台風・集中豪雨などの自然災害の場合にはインシデントが過ぎ去った後は復旧、つまり旧に復することを考えておけば良かったのですが、今回のコロナ禍の場合は、どうも様子が違うようです。この事態に対応するために、そして今後に生き残っていくためにも変化が必要です。期せずして政府は「事業再構築補助金(中小企業等事業再構築促進事業)」を設けるとしています(現時点では予定)。このような時代、私たちの会社を守るためには何が必要なのか?考えてみましょう。
「復旧」では通用しなくなってきた
今回のコロナ禍について、早くから対応を進めてきた企業経営者の話を聞くと、その多くが、コロナ禍に対応するためには「事業の立て直し」だけでは足らず、「事業の作り直し」が必要と言っていたことが、印象に残っています。早い企業では、昨年の春にはそれを口にし、取り組みを始めていました。東京郊外駅前に立地するあるレストランは、インターネット通販事業に軸足を移すべく、システム導入や通販に適した新メニューの開発、そして新メニューの通販システムへの登録を、早くもゴールデンウィーク明けには済ませていました。その後一進一退だったコロナ禍の進展から、この取組みだけで安泰とはいかなかったようですが、しかし毎週入ってくるSNSを通した事業報告で、今でも元気に営業を続けていることが確認でき、とても心強く感じています。
事業再構築補助金
事業再構築補助金とは、政府が令和2年度3次補正予算で実施予定としている補助金事業です。コロナ禍で売上低下に直面している中、思い切った事業再構築を計画する企業に、必要な経費等の一部を補助する制度です。現在、制度概要パンフレットが入手できるので、予定されている要件等について、そこで是非、ご確認ください。
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/2020/201221yosan.pdf
事業の再構築については以下3つが例示されています。
1.衣服販売業企業が、コロナの影響で客足が減り売上が減少したため、店舗での営業規模を縮小し、ネット販売事業やサブスクサービス事業に業態を転換する。この場合、補助される経費の例として、店舗縮小にかかる店舗改修の費用、新規オンラインサービス導入にかかるシステム構築の費用などが挙げられています。
2.航空機部品を製造していた企業が、コロナの影響で需要が減少したため当該事業の圧縮・関連設備の廃棄等を行い、ロボット関連部品・医療機器部品製造の事業を新規に立上げる。補助経費例として、事業圧縮にかかる設備撤去の費用、新規事業に従事する従業員への教育のための研修費用等が挙げられています。
3.レストラン企業が、コロナの影響で売上が減少したので店舗営業を廃止。オンライン注文サービスを新たに開始、宅配や持帰り需要に対応する。補助経費例として、店舗縮小に伴う建物改修費用、新規サービスに係る機器導入費や広告宣伝費用等が挙げられています。
政府は通常国会召集後、早々に3次補正予算案を審議・成立さるとしてます。動向を見守っていきましょう。
事業再構築が必要な企業が少なくない
政府が新たな補助金制度で「事業再構築」概念を明示したのは、とても意味あることだと考えます。これまで中小企業は既存事業をブラッシュアップする「事業改善」を目指すとされていましたが、コロナ禍を乗り越えるには、事業を切替る「事業再構築」が必要な企業が少なくないという示唆です。実際、筆者が目にした「コロナ禍を乗り越えた企業」も早々に事業再構築した企業でした。会社を生き残らせたい経営者の皆さん、是非、検討するのはいかがでしょうか?令和3年を「事業再構築元年」とすることが、コロナ禍の中で企業を生き残らせ、日本を復活させる鍵となるのではないかと感じています。
<本コラムの印刷版を用意しています>
本コラムでは、印刷版を用意しています。印刷版はA4用紙一枚にまとまっているのでとても読みやすくなっています。印刷版を利用して、是非、資金調達する方法をしっかりと学んでみてください。
なお、冒頭の写真は写真ACから fujiwara さんご提供によるものです。fujiwara さん、どうもありがとうございました。