「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第105回

資金繰り特別支援への準備(融資希望額を考える)

落藤 伸夫 2020年3月16日
 



コロナウイルス感染症による経済失速が目に見えてきました。2月頃からインバウンド関連の企業が売上低下に見舞われ、3月に入ってからのイベントの中止・延期要請や小中高校の休校で日本じゅうの需要が収縮するともに、今や世界の工場となっている中国からの部品供給が止まるなどして、産業全体に影響が出始めています。リーマンショック級の影響があるとの予想もあります。


これを受けて政府も対策を講じています。2月末に中小企業向けに5,000億円規模の資金繰り支援を行うと発表、3月10日には1.6兆円に拡大したと発表しました。日本政策金融公庫(日本公庫)による直接融資と、信用保証協会を利用した融資が、一般枠とは別枠で準備されています。日本公庫や信用保証協会、金融機関による審査はあるとはいえ、今まで「貴社へ融資できると考える範囲の一杯までご支援しているので、これ以上は難しいです」と断られた企業でも、資金調達できる可能性があります。


「資金調達できる、助かった」ほっとしておられる経営者も多いことでしょう。このような時の政府の支援策は、本当に助かります。一方で、そこで考えを止めてしまうのは、もったいないことです。どれくらいの額を調達するのか、それをどのように活用するのか、しっかり考えることによって効果を高めることができます。今日は、調達すべき額について考えてみましょう。



すぐに支払うべき金額(変動費)を確認する

調達金額の計算時にまず考えるべきは、このような事態になる前に注文し、これから支払うべき材料費等です。それらの材料は、今となっては活用の目処が立っていないかもしれません。生鮮品などの場合は、腐らせるままになってしまうかもしれません。しかし、それを購入した支払いはやってきます。普段なら、支払い時期にある入金で支払っていたかもしれませんが、今回は難しいでしょう。それをしっかりと計算に入れてください。



今後の固定費

次に計算すべきは、今後に支払うべき固定費です。従業員給料の他、事務所・店舗・工場などを賃借している場合にはその賃借料、水道光熱費、保険料などが該当します。どんな項目があるのかは、決算書の損益計算書や経費が引き落とされる通帳などから確認して、漏れがないようにしてください(改めて確認すると、その額の大きさに驚くことが多いようです)。

毎月の固定費が算出できたら、今のような事態がどれくらい続くかを見込みます。とはいえ、コロナウイルス感染症がいつになったら終息するかは誰にも分かりません。6ヶ月とするのが標準的と考えられます。この数字は「コロナウイルス感染症は6ヶ月経てば終息するだろう」という意味ではありません。6ヶ月様子見をして、その時に状況を改めて確認して計画を立て直した方が良いだろうという意味です。あまりに多額な金額を借りると、その後の返済に苦労することにもなります。

「給料等については政府からの助成金があるようなので、それを見越して減額しなければならないのだろうか?」まだそのお金を振り込んでもらっていないので、減額する必要はありません。付け加えると、もし早めに感染症が収束した場合に得られるだろう売上等も考える必要はありません。必要資金を計算する場合には、固め(金額としては多め)に計算しておくのが無難です。



事業継続に必要な手持ち資金

次に、事業継続に必要な手持ち資金についても計算してください。以上は、現状において原資がないにもかかわらず、支払いが必要となる資金の調達です。一方で、これまでに(厳密には「政府の緊急対策で資金調達できるようになる時まで」です)、以前のような売上があがらなかったので手持ち資金が減少していることでしょう。これを補充する資金を調達する必要があります。

手持ち資金として如何ほどの金額が必要か?業種や業態、顧客からの回収条件や取引先等との取引条件などにもよりますが、言い習わされている表現として「月商(年間売上の1/12)の3ヶ月分」があります。借入時に、月商の3ヶ月分となる金額よりも現預金(すぐに支払いに回せない定期預金等を除く)金額が少ない場合には、その差額を計算に入れてください。これにより、丁度6ヶ月目頃に事業が回復した場合に必要となる運転資金が確保できます。一方で、卸売業など買掛金の支払いが大きくなる業態では、3ヶ月分では足りないかもしれません。「普段なら、どれくらいに現預金があれば安心できるか」などを思い返して、必要資金を調達してください。

日本公庫や金融機関への申込み時には、是非、以上の計算をしてください。自分では難しいとお感じなら顧問税理士にご相談ください。StrateCutionsでも、ご相談に乗っていますから、お気軽にお声がけください。こんな危機に直面してもしっかりと会社を守り、事業を続けられるよう、できる備えを行っていきましょう。


(StrateCutions連絡先)

https://www.innovations-i.com/shien/contact/13509.html




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なお、冒頭の写真は写真ACからまぽさんさんご提供によるものです。まぽさんさん、どうもありがとうございました。






 
 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。


HP:StrateCutions

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