「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第91回

緊急時の資金調達方法を頭に入れる

落藤 伸夫 2019年9月30日
 


景気がどんどん悪化する中、売上が減少したり販売先からの入金が途絶えるなどすると、仕入先や給料として払うべきお金が足りないなどの事態になりかねません。その時に金融機関に融資を申し込んでも、色よい返事が戻ってくることはほとんどありません。不景気だと融資申込みが倍々ゲームで増える中、企業の先行きは不透明だからです。一方で、経営者はそれで諦める訳にはいきません。ではどうすれば良いか。緊急時に企業を支援してくれる公的な制度を活用してください。もう一つ、融資に頼らない資金調達についても、知っておきましょう。 



セーフティーネット保証(信用保証協会)

信用保証協会は「経営安定関連保証」と「危機関連保証」を実施しています。両者とも、中小企業の緊急時に対応すべく国の法律に基づいて実施される制度保証です。


経営安定関連保証は「連鎖倒産防止」、「取引先企業のリストラ等の事業活動の制限」、「突発的災害(事故等・自然災害等)」、「全国的に業況の悪化している業種」等に該当している中小企業が、その旨について事業所住所地を管轄する市町村長又は特別区長の認定を受けた場合に利用できる制度です。経営の安定に必要な事業資金として、一般の普通保証枠とは別枠(返済期間:10年以内(うち、据置期間:2年以内))で、100%の信用保証を受けることができます(以前に『信用保証協会の保証枠を使い切っているので、これ以上の保証は受けられません』と言われた場合でも、利用できる可能性があります)。


危機関連保証とは、「取引先等の再生手続等の申請」や「事業活動の制限」、「災害」、「取引金融機関の破綻」、「大規模な経済危機等による信用の収縮」等により経営の安定に支障を生じている中小企業者が、その旨について事業所住所地を管轄する市町村長又は特別区長の認定を受けた場合に、一般枠及び経営安定関連保証とは別枠で利用できる制度です。


これら保証による融資を受けたい場合、住所地又は事業実体のある事業所の所在地である市町村(または特別区)の商工担当課等の窓口に認定申請してください。また、認定書が得られたらストレートに保証・融資が得られる訳ではなく、当該認定書をもって金融機関に融資を申し込んで頂き、金融機関・信用保証協会による審査を経てから融資が行われますので、時間的余裕を持って取組を行ってください。

(東京信用保証協会案内サイト)

https://www.cgc-tokyo.or.jp/institution/needs.html



セーフティーネット貸付(日本政策金融公庫)

日本政策金融公庫は、「セーフティネット貸付」として「経営環境変化対応資金」、「金融環境変化対応資金」及び「取引企業倒産対応資金」を実施しています。いずれも国の法律に基づいて実施される制度貸付です。


「取引企業倒産対応資金」は、取引企業など関連企業の倒産により経営に困難を来している方で、「倒産した企業に対して50万円以上の売掛金債権などを有する方」、「倒産した企業に対する取引依存度が20%以上である方」、「倒産した企業に対して貸付金や差入保証金などの債権を有する方」、「倒産した企業の債務を保証している方」、「倒産した企業の設置する商業施設に入居している方であって、倒産の影響を受けている方または影響を受けるおそれのある方」、「倒産した企業から受注した商品や役務などが、倒産の影響により取り消された方」のいずれかに該当する方が利用することができます。企業の運営上一時的に必要となる運転資金として別枠として3,000万円(返済期間:8年以内(据置期間:3年以内))の貸付を受けることができます。


この貸付は、お近くの日本政策金融公庫(国民事業)窓口にお申込みください

(日本政策金融公庫)

https://www.jfc.go.jp/n/finance/ search/index.html



借入ができなかった場合

 「金融機関にも、公庫にも、保証協会も打診したが、新たな融資は受けられなかった。しかし会社は潰したくない。今を乗り切って回復を待つ方法はないだろうか」そう決意を固めるなら、まずは金融機関に現在の借入について返済を猶予してもらえるよう(リスケジュール)依頼しましょう。「リスケは返済の猶予であって、資金調達ではないぞ。」いえ、資金調達です。


年商2億円、借入金残高1億円の企業で考えてみましょう。取引先が倒産して売掛金300万円の回収が不可能になりましたが、これを原資に期待した買掛金の支払が不要になる訳ではありません。借入しようとしましたが、事情によりできませんでした。どうするか?金融機関に返済を一時、猶予してもらうのです。1億円を返済期間5年で借りていれば毎月の返済金は約166万円。この場合、買掛金の支払いが翌月なら、問題なく支払いができます。


中小企業いや全ての企業にとって資金は血液です。景気後退時には資金が不足する傾向がありますから、いざという時の調達策について頭に入れておくことは、経営者にとって最重要な役割といっても過言ではありません。今回の記事を是非、記憶の片隅に入れておいてください。




<本コラムの印刷版を用意しています>

本コラムでは、印刷版を用意しています。印刷版はA4用紙一枚にまとまっているのでとても読みやすくなっています。印刷版を利用して、是非、資金調達する方法をしっかりと学んでみてください。


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なお、冒頭の写真は写真ACからbBearさんご提供によるものです。bBearさん、どうもありがとうございました。


 
 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。


HP:StrateCutions

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