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第231回

創発で斬新なソリューションを生む

StrateCutions (ストラテキューションズ)グループ  落藤 伸夫

 



コロナ禍は完全に抑え込まれた訳ではないものの、ウイズコロナが浸透することで外国人観光客も戻ったことなどから一息つける企業も増えてきました。一方で自動車関連など苦しい状況が続く企業も多いようです。このような企業では持続化と立て直しのため計画書を策定して取り組んでいくことが勧められます。しかし中には「V字回復を目指す計画書を立てたことがあるが、全く成果は得られなかった。そんな計画を立てても意味がない」と言う経営者もおられるでしょう。


それはなぜか?理由の一つに、計画書に数値目標が記され、必要と思われるアクションプランも記されているが、売上や利益を増やす原理が会社にない、それを育む方策も計画書に盛り込んでないことが挙げられます。その原理としてこれまで「方向合わせ」と「投入資源の総和を超える成果が出せる協力体制」について検討しました。今回は「創発」について考えます。



創発とは

「創発」とは何か?いろいろな定義があるようですが、ここでは「人々の相互作用により予期しない大きな成果が生まれること」としましょう。例えばある工程作業が難しく、納期遅れや不良品を頻発して足を引っ張っているとします。この対処方法の1つに「当該工程が担う作業の一部を前後工程で引き取って作業を平準化させ、当該工程にしっかりと対応する時間を与える」が考えられ、これは現在の取組を漸進的に良化する「改善」と言えます。しかし対策はこれだけかと言うと、他にもあります。例えば「当該工程と前後工程で作製している部品は内製をあきらめて外注する。当社は強みを活かせる工程に特化して付加価値を高める」アプローチが考えられるかもしれません。今までとは不連続ながら大きな成果をもたらすソリューションを思いつくのが「創発」です。


「ボトルネック工程を外注化するなんて、セオリー化されているではないか。これをわざわざ『創発』というのか?」是非、思考プロセスに注目してください。ボトルネックになっている工程やその前後工程は、部品の外製化というソリューションは、普通は思いつきません。人は「自分の仕事を無くすことは考えられない」というメンタルブロックを持っているのが普通だからです。


当事者にメンタルブロックがあるため根本的なソリューションを思い付けない場合でも、他人なら思いつけるかも知れません。そうやって考えてみると、会社とは「お互い様」の集合体です。自分・自部門の困まりごとについては解法は思い付かないが、他人・他部門の困りごとについては斬新的なソリューションを思いつける場合があります。「しかし、専門知識がないと解けない問題・課題があるぞ、それは他人・他部門には解けないだろう。」そちらは改善の領域なので、是非当事者に考えてもらいたいところです。創発は、今までの延長線上にはない、飛躍的な発想で大きな成果を目指す思考法です。



創発できる仕組みを作る

「会社立て直しを目指してきたが成果が出なかった」と言う企業を仔細に観察すると、V字回復を表現する目標数値が提示され、アクションプランも策定されているが、会社を立て直す原理となる「方向合わせ」も「協力体制」も、そして「創発」も仕組んでいない場合が多いのです。ちなみに「方向合わせ」も「協力体制」も「創発」も込められていないアクションプランは、どんなものか?一言でいうと「今まで100の頑張りをしたが、これからは150、いや200の頑張りをする」という内容です。しかし今まで法定時間ギリギリまで残業して100の頑張りを行なってきた企業に、この選択肢は不可能です。こう考えると会社を立て直す原理である「方向合わせ」、「協力体制」、「創発」が組み込まれていない計画書ではV字回復は到底実現不可能と考えざるを得ません。


「では、方向合わせや協力、創発を行うとさえ書いてある計画書は信じられるのか?その記載さえあれば、金融機関に『事業性ある』と認めてもらえるのか?」それは難しいと思われます。会社を立て直す原理について全く触れていない計画書では実現性ありとは認められませんが、これらが記載されているからといって事業性ありと単純に認められるとは限りません。「ここまで書き込んであれば、方向合わせや協力、創発の下地となる仕組みが実現し、これらが実行され、成果に繋がる可能性が高い。つまりV字回復できる可能性が高い」と金融機関に思ってもらえる内容とする必要があります。「どうすれば良いか全く検討がつかない。誰か相談できる相手はいないだろうか」と思われるなら、成果のあがる事業計画書作りで実績のあるStrateCutionsに、是非ご相談下さい。




本コラムの印刷版を用意しています


本コラムでは、印刷版を用意しています。印刷版はA4用紙一枚にまとまっているのでとても読みやすくなっています。印刷版を利用して、是非、資金調達する方法をしっかりと学んでみてください。

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なお、冒頭の写真は 写真AC から craftbeermania さんご提供によるものです。craftbeermaniaさん、どうもありがとうございました。


 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。


Webサイト:StrateCutions

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