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第57回

信用保証制度見直しに対応する(2)

落藤 伸夫 2018年4月16日
 

 前号から3回にわたって本年4月1日からスタートした「中小企業信用保証制度見直し」をご説明しているところです。中小企業庁は、昨年秋から、専用サイトを設けて本見直しについて告知しています。 


<中小企業庁告知サイト> //www.chusho.meti.go.jp/kinyu/shikinguri/hokan/index.htm


 前号では概要と、第1の「中小企業の多様な資金需要に対するきめ細かな対応」についてご説明したところです。この見直しによる中小企業への影響は、論者により意見が別れており「信用保証の拡大策」と考える人もいれば、「多くの中小企業にとって大きな影響を及ぼす」と考える人もいます。筆者は後者の考えで、特に第2の柱部分を見て、そう感じました。今回はその第2の柱の概要についてと、このような見直しがなされた「考え方」を検証します。そして次回はその背景や対策等を検討します。



信用保証協会と金融機関とが連携した支援

 第2の柱は「信用保証協会と金融機関とが連携した支援」と銘打たれ、大きく3つの策が執られるとされています。

(1)信用保証協会と金融機関の連携【保証協会法改正】

・信用保証協会と金融機関との連携を法律上に位置づけ、中小企業のそれぞれの実態に応じて、プロパー融資(信用保証なしの融資)と信用保証付き融資を適切に組み合わせ、信用保証協会と金融機関が柔軟にリスク分担を行っていくべく、信用保証協会と金融機関との間で更なる連携を図る。

・実効性を担保するため、信用保証協会向けの監督指針にリスク分担について明記し、各信用保証協会・各金融機関のプロパー融資の状況等について情報開示を行うとともに、現場レベルでの浸透をモニタリングする。

(2)信用保証協会における経営支援【保証協会法改正】

・中小企業に対する経営支援業務を信用保証協会の業務として法律上に明記し、取組を着実に進める。

・仮にメインバンクが十分な融資を行えない場合には信用保証協会が他の金融機関を紹介するといった取組や、中小企業支援機関に資金繰りの相談がなされた場合には速やかに信用保証協会等に繋ぐといった取組など、信用保証協会と中小企業支援機関の連携による相談体制の強化を行う。

(3)セーフティネット保証5号の保証割合の引下げ

・中小企業の経営改善や事業転換等の一層の促進につながるよう、不況業種を対象とするセーフティネット保証5号の保証割合を100%から80%に変更する(「別枠」は維持)。

・この保証割合の変更は、平成30年4月1日以降に保証申込の受付がされた融資に対して適用。



これまで連携していたか?

 以上の告知内容を読んで「あれ、信用保証協会と金融機関は、今まで連携していなかったのか?」そう思われる方も多いことでしょう。金融機関に融資を申し込むと、ある時にはプロパーで対応してくれ、ある時には信用保証協会付きになるという実態をみて、利用者からすると、両者は連携して相談の上で「次はプロパー・保証付きのいずれとして支援するのか」を決めているのではないかと考えてしまいそうです。しかし、実態は、そうではなさそうです。  

 今までの一般的な流れでは、信用保証を利用するかどうかは金融機関が決めていました。「債務者格付けによると『正常先』には該当せず、プロパーでは対応できないので、信用保証を得られれば支援しよう」と決めていたのです。その旨を中小企業の皆さんに伝えて信用保証申込書を提出すると、あとは信用保証協会の保証決定を待ちます。  

 この流れだと金融機関は、債務者格付けで「プロパー融資は行えない」と判断した企業を支援するか否かについて、保証協会に判断を任せることになります。実際には、信用保証付き融資とプロパー融資が混在する場合もあるので、判断を100%保証協会に任せているというのは言い過ぎでしょう。しかし、例えば初めての中小企業を支援するか否かの判断は、保証協会に任せていたと言えるでしょう。



見直しの考え方

 今回の見直しでは、この状況が問題視されたようです。中小企業庁の紹介サイトには以下のように記されています。


(以下、引用)

 信用保証への過度な依存が進んでしまうと、金融機関にとっては、事業性評価融資やその後の期中管理・経営支援への動機が失われるおそれがあるとともに、中小企業にとっても資金調達が容易になることから、かえって経営改善への意欲が失われるといった副作用も指摘がされています。

 こうした副作用を抑制しつつ、中小企業の経営改善や生産性向上を一層進めていくための仕組みを構築することが必要です。

 信用保証協会と金融機関が連携して中小企業への経営支援を強化することで、中小企業の経営改善・生産性向上を一層進める仕組みを構築することが必要であるという考え方の下、今般の見直しを行っています。

(以上、引用)


 先ほど言った「債務者格付けによるとプロパー対応できないので信用保証を得られれば支援する」「初めての先には信用保証協会の保証が得られれば支援する」という考え方は「信用保証への過度な依存」と考えられたようです。このため今後は、このような姿勢で金融機関が信用保証を活用しようとした場合、受け入れられない可能性が考えられます。では、何が必要なのでしょうか?どんな連携が期待されているのか、次回にしっかりと考えていきます。




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本コラムでは、印刷版を用意しています。印刷版はA4用紙1枚のボリュームなのでとても読みやすくなっています。印刷版を利用して、是非、資金調達できる企業になるための方法をしっかりと学んでみてください。



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プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。

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