「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第208回

どのようにイノベーションを考えるか

落藤 伸夫 2022年5月16日
 



コロナ禍が2年以上も続いた中、このところやっと光明が見えたと言えそうです。「これで2019年に戻れる。昔の態勢を築けば業績が戻ってくる!」とお考えの経営者も多いことでしょう。そうなることを期待しています。


一方で、そうならない可能性への対応も考える必要があります。失われた10年・20年と呼ばれる日本経済の腰弱さや、IT活用など世界的ビジネストレンドへの対応遅れ、コロナ禍が収束しても直ぐにインバンドが戻ると考えられない等の回復の遅さ、テレワーク浸透や大企業の地方移転等による事業環境変化などから、コロナ禍が収束しても当社が直ぐに回復するとは限らないのです。


「状況を考えると、当社は後者のパターンのような気がする。」もしそうならコロナ禍が収束しようとする今、昔の態勢を立て直すのではなく新たな需要を取り込むビジネスを築く方が良いと思われます。イノベーションを起こすのです。今日はイノベーションについて考えます。



イノベーションとは

「イノベーション」は、様々な意味がある言葉です。一昔前までは新しい電子回路の開発によるITの飛躍的な発展や、インターネットを利用した新しいビジネスモデル構築、遺伝子研究を活用した製薬や治療法の確立等、他では到底真似できない事業の確立(新機軸)を意味することが多かったのです。この意味のイノベーションは中小企業には「縁遠い」と言わざるを得ないものでした。


しかし今、状況が変化した可能性があります。一昔前までは例えばインターネット上にバーチャル店舗を出店すると共にITを利用して在庫・出庫管理し、請求や着金確認・会計まで一元的に処理するためには大規模なITシステムを導入する必要がありましたが、今では手頃な価格で実現できるようになっています。冷蔵・冷凍品の発送や海外との取引等も、決済や物流のインフラ整備により誰でも参入できます。「大企業と中小企業の垣根」が以前より低くなってきたと言えそうです。


このような環境下では、これら新しい事業環境(ITシステムやアウトソーシング先等)の活用により事業モデルを抜本的に変革できる可能性があります。事業環境を自ら改革せずとも、提供されているものを取り入れることによるイノベーション(新結合)が可能になるのです。



イノベーションは「尖る」ことより「事業性(儲かる)」

事業環境が変化し「イノベーションには高度・大規模な仕組み作りが必要」という常識が打ち破られ、既存のものを組み合わせでイノベーションが可能になりました。中小企業もぜひ、このチャンスを捉えてビジネスを盛り返しましょう。実は「事業再構築補助金」は、中小企業のイノベーションを後押しすることを目的としています。


「その話は知っているが、トライした仲間は『随分とハードルが高い』と言っていた。利用は難しいのではないか?イノベーションは中小企業には無理ではないか?」確かに事業再構築補助金には特有の難しさがあります。ものづくり補助金や持続化補助金は「今、行っている事業を推進させるための補助金」だが、事業再構築補助金は「今、行っていない事業を始めるための補助金」だからです。このため以下がポイントになると考えられます。

① これまで当社で試みたことがない試みである(新規性)

② 地域・市場・商圏で際立つことができる(ユニーク性)

③ チャレンジングだが取組に着手・継続が可能(実行性)

④ 業績改善可能と合理的に期待できる(計画合理性)

⑤ ゴール時期には期待した成果をあげられる(実現性)

⑥ 想定リスクに対策・対応できる(リスク耐性)

事業再構築あるいはイノベーションと言うと①や②に目が行き、それも「飛び抜けたユニークさ(日本でも珍しい、あるいは地域で他にない)」が条件と考えそうですが、そこまで求められていません。「自社の市場で(競争関係で)際立っており、選ばれる理由となる」程度で十分です。ユニークさを磨いて「尖る」ことにこだわるのではなく、新事業で儲かること(事業性)に集中しましょう。③以降の実行性や計画合理性、実現性に目を向けるのです。「当社の〇〇という強みにより、実行が可能で、業績改善に結び付けられ、ゴール時期には期待した成果があげられる。リスク対策も万全である」と丁寧に説明するのです。


事業再構築のため資金調達が必要なら、

⑦ 企業が「事業性がある」と言えるほど改善(上位遷移)

こちらもポイントになります。さもなくば、金融機関のつなぎ資金(あるいは自己負担分についての借入)が難しいからです。「イノベーションに取り組みたいが一人では難しい。誰かと相談したい」と思われるなら、地域の「よろず支援拠点」あるいは取引金融機関などにご相談ください。StrateCutionsでもご相談に乗っています。




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本コラムでは、印刷版を用意しています。印刷版はA4用紙一枚にまとまっているのでとても読みやすくなっています。印刷版を利用して、是非、資金調達する方法をしっかりと学んでみてください。

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なお、冒頭の写真は 写真AC から fujiwara さんご提供によるものです。fujiwara さん、どうもありがとうございました。


 
 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。


HP:StrateCutions

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