企業と地方の「人がいない」を解決する~地方創生テレワーク&BPOという選択肢~
第1回
これからの時代に選ばれる働き方とは? ― 少子高齢化・人材不足を乗り越える組織づくりのヒント
株式会社aubeBiz 酒井 晶子
「人がいない」「採用できない」「後継者がいない」──
都市部・地方を問わず、多くの企業や自治体が抱える共通の悩みです。
少子高齢化が進み、労働力人口が減少の一途をたどる中、日本全体が深刻な人材不足に直面しています。
人材不足の現状
2025年時点での人手不足は約500万人以上、2030年には600万人超に達するという予測もあります。
また、帝国データバンクによる調査では、2024年の「人手不足倒産」は10月時点で287件にのぼり、過去最多を記録しています。(出典:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査」2024年10月)
人材不足は今や、企業経営を揺るがす深刻な社会課題です。
特に地方では、人口流出と事業承継の難しさが重なり、企業倒産や地域経済の衰退につながっているのが実情です。
このような状況において、従来の雇用や働き方の仕組みだけでは、もはや限界を迎えているのではないでしょうか。
働き方の多様化への遅れ
人生100年時代を迎え、終身雇用や定年退職後の生活設計だけでは人生を支えきれない今、複数のキャリアを築きながら柔軟に働く「マルチキャリア時代」が到来しています。
また働き方も、終身雇用を前提とした従来のメンバーシップ型から、スキル・経験・専門性を重視したジョブ型雇用や、労働時間・勤務地・職務内容などを限定した限定社員など、個人のライフスタイルに応じて選べる方向へと大きくシフトしています。
さらに、育児や介護との両立、副業・兼業の容認、フリーランスでの就業、ワークシェアリングなど、働き手のニーズは従来の枠を超えて多岐に広がっています。
しかし、こうした「働き方の多様化」に、十分に対応できていない企業も少なくありません。
テレワークとBPOという選択肢
こうした課題を解決する手段のひとつが「テレワーク」です。
昨今、出社回帰の傾向も見られますが、働き手の状況や希望に応じて「テレワークできる体制がある」ことは、今後の企業の人事戦略においてますます重要になると考えています。
テレワークができる体制を整えておくことは、働き手にとって魅力的な就業先となるだけでなく、有事の際のBCP(事業継続計画)対策としても有効です。
さらに、場所に縛られず働けることで、都市部の企業が全国の優秀な人材を活用する手段にもなります。
また、テレワーク環境の整備、すなわちクラウド化やペーパーレス化が進んでいれば、人材が採用できない場合や急な離職時にも、業務の一部を外部に委託する「BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」という選択肢が生まれます。
このような柔軟な組織体制は、単なる“非常時の対応”ではなく、これからの時代を生き抜くための「持続可能な人材活用モデル」として、企業や自治体にとって不可欠になっていくのではないでしょうか。
しかし現実には、IT人材の不足や業務の属人化により、DX化が進まず、テレワークやアウトソーシングに対応できていない企業も多いのが現状です。
このコラムでは、2011年から完全テレワーク体制でBPOサービスを展開してきた私の経験をもとに、「人がいない」を乗り越える具体的な選択肢として、テレワーク導入やBPO活用の実践的なヒントをお伝えしていきます。
次回は、いままさに「人が足りない」と言われる一方で、まだ活かしきれていない「潜在労働力」にスポットを当て、どこに、どんな人材が眠っているのか? どうすれば会いたい人材に出会えるのか? について詳しくお届けします。
プロフィール
株式会社aubeBiz(オーブ・ビズ)
代表取締役 酒井晶子(さかい あきこ)
兵庫県出身。繊維メーカー、外資系企業、広告代理店勤務を経て、これまで3000名以上の研修企画、採用・人材育成に携わる。
2011年に全員がフルリモートで働く組織構築に携わり、様々な事情で外勤が難しい人が在宅で起業家をサポートする「在宅秘書サービス」を展開。
2022年 株式会社aubeBiz設立。サービス名称をMy Back Office®に改め、秘書業務に限らず、あらゆるバックオフィス業務や各種サポートをワンストップで提供。
著書に、電子書籍「女性を活かす組織作りの教科書」「リモートワークで人も組織も伸びる」「0から始める地方創生テレワーク」等。
Webサイト:株式会社aubeBiz
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