企業と地方の「人がいない」を解決する~地方創生テレワーク&BPOという選択肢~

第32回

生成AIとBPOの未来──AI時代の“人と組織”の役割とは? 〜AIが当たり前になる時代に、企業やビジネスパーソンは何を強みにするのか〜

株式会社aubeBiz  酒井 晶子

 

はじめに──AIはすでに“前提条件”に

ChatGPTをはじめとする生成AIは、もはや一部の先進企業や、スキルの高いビジネスパーソンだけのものではなくなりました。


資料作成、文章生成、画像生成、要約、翻訳、アイデア出し──。


日常的にAIの力を借りながら仕事をする人が増加し、少し前まで聞かれた「AIに仕事を奪われるのでは?」という問いも、最近ではあまり耳にしなくなりました。
それもそのはずです。 AIを使わない仕事の方が、もはや不自然になりつつあるからです。
世界的にも、AIは社会インフラの一部として急速に普及しています。
日本政府もAI新法案の制定を軸に、2030年までに国内産業界におけるAI導入率を80%に引き上げるという目標を設定。そのための環境整備とルール整備を両輪で進める意向を表明しています。

議論はすでに 「AIに仕事を奪われるかどうか」ではなく、 「AIがある前提で、人と組織は“何に価値を集中させるのか”」 というフェーズに入っています。
そして今、その設計力の差が、企業の成長スピードや人材定着、さらには地域との関係性にまで、はっきりと表れ始めています。


AIが得意な仕事、人が担う仕事

AIが得意な領域は、すでに明確です。

・情報処理・整理・要約
・定型業務の自動化・高速化
・アイデアの“量産”と壁打ち
・「24時間365日」の稼働
・感情を伴わない客観処理

速さ・量・網羅性において、AIは圧倒的で、「人が頑張って勝つ」領域ではありません。
一方で、AIが担えない領域をAI自身に尋ねると、以下のような項目があがってきました。

・意味づけ・価値判断
・相手の背景や感情をくみ取る
・状況に応じて判断を変える
・責任を引き受ける
・関係性を育てる

最近では「AIに悩み事を相談する」という話もよく聞かれ、一見、AIにも空気を読んだり感情をくみ取る力があるようにも見えますが、現時点ではまだまだ「フリがうまい」だけ。
この領域にこそ、人の価値が集約されていくと考えられます。

AI時代の仕事は「作業」から「ディレクション」へ

AIが当たり前になると、仕事の性質そのものが変わります。
これまでの仕事は「自分で考え、作り、仕上げる」ことが中心でした。
これからは、「AIが出した複数の選択肢を見極め、整え、最適解を決める」。
そんな“編集者”や“ディレクター”としての役割が主軸になります。
たとえば、AIに「お客様へのお詫びメール」を作らせることは簡単です。
敬語も論理構成も、ほぼ完璧な文章が数秒で出てきます。
けれど、
このお客様との過去のやり取り
今回のトラブルが与えた感情的影響
今後の関係性をどう築きたいか
こうした判断を踏まえて 「どの言葉を残し、どこを言い換え、どこに想いを込めるか」 を決めるのは、人にしかできません。
仕事の価値は、“作ること”から“選ぶこと・決めること”へ。
AI時代は、そういう時代だと思っています。

BPOはAIに置き換わるか?──答えは「役割が進化する」

よくいただく質問があります。
「BPOや事務代行、秘書代行は、AIに置き換わるのではないですか?」
私は、置き換わるのではなく、“質が上がる”と考えています。
単純な転記や処理をはじめ、多くの「作業」はAIが担うようになります。
ですが、その分、BPOに求められる役割は次のステージへ進みます。

・AIを前提にした業務設計
・複数のAIツールの中から最適なものを組み合わせる力
・AIのアウトプットのチェックと調整
・業務フロー全体の最適化
・人とAIの役割分担の設計
・クライアントへの改善提案

つまり、「作業代行」から「業務設計・運用・改善の伴走」へ。
「作業」をAIに任せることで、よりスピーディに、正確に、「クライアントの課題解決」と「クライアントが求める結果にコミットすること」に注力できるようになるのです。
企業にとっては、AIを“使える人材”がチームにいるかどうかではなく、 AIを前提に業務を設計できるパートナーがいるかどうかが、企業の生産性を左右する時代になります。
当然、BPOもそうしたニーズに対応する形へと進化する必要があり、弊社でも、すでにAIの習得や活用は大前提とした上で、より伴走型のサービス提供ができるようシフトチェンジを始めています。

中小企業こそ、AI×BPOの恩恵を最大化できる

「AI活用は大企業の話では?」 そう思われる方もいるかもしれません。
ですが、現場を見ている実感としては、むしろ中小企業の方が相性が良いと感じています。
 理由はシンプルです。

・意思決定が早い
・現場と経営の距離が近い
・業務改善の余地が大きい

人材不足が進むこれからの時代、すべてを内製しようとせず、 AI活用が進んでいるBPOパートナーを“外部の知能”として使う という選択肢をぜひご検討いただきたいと感じています。
そうすることで、
社員は判断や対話に集中できる。
属人化が解消される。
業務が可視化・標準化される。
結果として、「人が疲弊しない組織」へと近づいていくと考えます。

AI時代に問われるのは「人をどう扱うか」

技術が進めば進むほど、逆説的に浮かび上がるのが、その企業が、人をどう扱っているかという姿勢です。
AIを「人を減らす(コストカット)」ために使うのか。
それとも、「人を単純作業から解放し、より輝かせる」ために使うのか。
その選択は、採用、定着、企業文化、地域との関係性にまで影響します。
私は、後者を選ぶ企業が、結果的に強く、長期的に成長していくと確信しています。

テクノロジーを恐れず、かといって過信せず。
「人」を中心に置いたデジタル活用が未来の経営を作っていくと考えています。

おわりに──AI時代だからこそ、人は“人の仕事”に戻れる

AIは、疲れません。愚痴も言いません。 でも、責任も、覚悟も、信頼も背負えません。
AIが当たり前になる時代は、情報量と作業量の多さから解放され、人が人らしい仕事に戻れる時代でもあります。

考える。決める。寄り添う。育てる。つなぐ。

人にしかできない価値を、人が担うための土台として、AIをどう使うか。
そして、全てを自前で抱え込まず、外部のパートナー(BPO)とどうタッグを組むか。
その設計が、これからの企業経営の核心になっていくのではないかと感じています。

次回は 「地域リーダーが拓く未来──ローカル・テレワーク・パートナーの力」
全国採用、AI活用……これらをつなぐ鍵となる存在が、実は「地域」にいます。
地方に住みながら新しい働き方を実践し、企業と地域をつなぐ「ローカル・テレワーク・パートナー」という存在について。 地域活性化の新しい希望となる、その可能性をお伝えします。

 

プロフィール

株式会社aubeBiz(オーブ・ビズ)
代表取締役 酒井晶子(さかい あきこ)

兵庫県出身。繊維メーカー、外資系企業、広告代理店勤務を経て、これまで3000名以上の研修企画、採用・人材育成に携わる。

2011年に全員がフルリモートで働く組織構築に携わり、様々な事情で外勤が難しい人が在宅で起業家をサポートする「在宅秘書サービス」を展開。

2022年 株式会社aubeBiz設立。サービス名称をMy Back Office®に改め、秘書業務に限らず、あらゆるバックオフィス業務や各種サポートをワンストップで提供。

著書に、電子書籍「女性を活かす組織作りの教科書」「リモートワークで人も組織も伸びる」「0から始める地方創生テレワーク」等。


Webサイト:株式会社aubeBiz

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