「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第106回

調達した資金を有効利用する

落藤 伸夫 2020年3月23日
 



コロナウイルス感染症が国内だけでなくヨーロッパをはじめとした世界に広がっています。感染症がどのような展開を見せるのか全く見えてこない中、できるのは企業を生きながらえさせる準備を講じておくことです。その出発点は、多くの企業にとって資金調達でしょう。感染症による売上減少から世界的な信用収縮までへの備えとして、政府が支援措置を講じています。これまでなら「貴社へは限度額まで支援しているので、これ以上は難しい」と言われてしまう企業へも、今回は事業継続の意思があれば融資が得られる体制が整えられてきました。


融資が得られるなら、感染症の影響がしばらく続いても程なくして資金が底を尽きることのないよう、そして回復期には事業をしっかりと再開できる額を調達しましょうというお話を、前回にしました。今回は、そのお金をどのように生かしていくか、考えていきましょう。



時間をお金で買った

融資金が振り込まれると「これほど多額なお金が手元にあることはあまりないので、普段できないことをしよう」という社長さんもおられますが、これはお勧めしません。「融資金の一部で今まで欲しかった設備が購入できる」という考えは、捨ててもらいたいと思います。


前回の借入金額計算でお気付きだと思いますが、この借入は、コロナウイルス感染症で生じた売上低下などの状況が続いても会社を存続させ、回復期には仕入れできるなどして事業を再開させるための資金です。時間を買うために確保した資金とも言えるでしょう。今、企業の存続に直接に関わらない投資をするためにお金を使ってしまい、本当に困った時のための備えを減らしてしまうのは絶対に避けるべきです。



行うことができる検討

「それはつまり給料や家賃などの固定費支出のため残高が減っていくのを黙って見ておく他、何もしてはいけないという意味か?」そうではありません。その逆です。給料や家賃などを払って企業を生きながらえさせた時間は、是非、企業のメリットになるように使ってください。普段なら「検討が必要なことは分かっているが、それには莫大な時間がかかる。そんなことを考える暇があるならビジネスを回した方が良い」と考えて後手に回っていたことを、検討するのです。「思いつかないが」いいえ、たくさんあるはずです。


先日にテレビで、コロナウイルス感染の影響で開店休業状態にある飲食店がレポートされていました。普段の売上は見込めませんが、当店を頼ってくれるお客様の支えになりたいと店を開けているそうです。お客様のいない時には掃除をしたそうです。でも、掃除をやり尽くした今、何をすれば良いのか、考えあぐねているそうです。


ここで、アンテナを高くしておられる皆さんなら、政府がコロナウイルス感染対策として補助金事業を始めたことをご存知だと思います。

(生産性革命推進事業ポータルサイト・中小機構)

https://seisansei.smrj.go.jp/


「知っているよ。こんな時期に補助金申請できるなんて、余裕のある企業もあるものだ。余裕のある企業しか対応できない時期に補助金を出すなんて、政府もどうかしている。」いいえ、政府が補助金事業を前倒しして行っているのは、そのような趣旨ではありません。コロナウイルス感染症に苦しんでいる「ごく普通の企業」に、このタイミングでしかできない取り組みをして欲しい、来るべき再開時に備えて欲しいと考えているからだと思います。



補助金を使い道までしっかり考えて申請する

例えば持続化補助金では、Webサイトの改造資金も対象になります。忙しい時なら「補助金でWebサイトを作れるので、予算内で見栄えの良いサイトを作って」と頼むだけかも知れません。しかし今なら「Webサイト改造資金への補助が得られるなら、最大限の効果が得られるように工夫しよう」と取り組むことができます。改造後のWebサイトについて業者に任せきりにするのではなく、我が店の特徴や常連客の特性、新たに呼び寄せたい新規顧客の特性などを踏まえたサイトを企画するのです。「効果をあげるなら、感染症が落ち着いた時にキャンペーンを打てるように企画し、内容もそれと合わせよう」とか、「だったら合わせてチラシも配布しよう」と工夫できるかもしれません。そういう、忙しさに紛れて行うことができなかった検討を行なって、今後に繋げていくのです。



コロナウイルス感染症の蔓延は、とても辛い出来事です。但し、全ての企業がノックダウンされる訳ではありません。生き残れる企業はあります。十分な準備をする企業、そして使える時間を有効利用する企業です。ぜひ、生き残っていける企業になりましょう。


「相談相手がいると良いのだが」ぜひ、そうしてください。貴社をよく知る顧問税理士は、その最適任者です。行政や商工団体に申し込むと相談に乗ってくれる場合があります。StrateCutionsでも、ご相談に乗っています。


(StrateCutions連絡先)

https://www.innovations-i.com/shien/contact/13509.html




<本コラムの印刷版を用意しています>

本コラムでは、印刷版を用意しています。印刷版はA4用紙一枚にまとまっているのでとても読みやすくなっています。印刷版を利用して、是非、資金調達する方法をしっかりと学んでみてください。

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なお、冒頭の写真は写真ACからまつながひでとしさんご提供によるものです。まつながひでとしさん、どうもありがとうございました。






 
 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。


HP:StrateCutions

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