「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第77回

金融検査マニュアル廃止時代の「税理士の選び方」

落藤 伸夫 2019年3月4日
 

 中小企業診断士事務所StrateCutionsでは、2月13日水曜日に緊急セミナー「~人手不足倒産も人ごとではない社長必見~ 決算期を前に中小企業社長が考えなければならないこと」を開催いたしました。そこで好評を博した内容を、ここでご報告したいと思います。今回はとても反響の強かった「金融検査マニュアルが廃止される時代の税理士の選び方」を取り上げます。



「事業性評価」の光と陰

 金融検査マニュアル廃止により、今まで「債務者格付け」で融資判断してきた金融機関が、これからは「事業性評価」も活用すると期待されます。これまで債務者格付けでは資金調達が難しかった企業も、事業継続可能性や発展可能性を納得してもらうころで資金調達できるという「光」が差し込んできたのです。


 しかし全ての金融機関、全ての融資審査担当者が事業性評価に精通している訳ではありません。だからといって金融機関や担当者が事業性評価に消極的な訳ではなく、チャンスがあれば行いたいと思っています。少なからぬ金融機関は、必要な情報を開示する中小企業には事業性評価を行う姿勢でいるはずです。


 「よし、幾らでも話してやろう。」それは、上手く行かないことが多いようです。ざっくばらんに言えば「金融機関職員は、社長の言っていることを十分に理解できる訳ではない。また社長も、金融機関が聞きたいことをしっかりと話しているとは限らない」ということです。社長は「毎日一生懸命仕事しているが、デフレや消費者の購買意欲の減退、従業員不足などで売上があがらなくて困っている。資金調達でしのぎたい」と思っていることが多いでしょう。そのような気持ちになることがいけないという訳ではありません。ただ、金融機関担当者は「申込み企業に将来性(事業性)がある」ことを確認したいのです。このすれ違いが「陰」となっていることも、事業性評価はなかなか進まない一因のようです。



「かかりつけ医」税理士と実態

 金融機関と社長の気持ちが離れてしまいがちな時にどうすれば良いのか?コミュニケーションを円滑化する存在を間に置く方法があります。金融機関と社長の場合、顧問税理士がうってつけのポジションにいます。税理士は、財務の専門的知識から金融機関担当者の話も理解でき、いつも会社を見ているので社長の言うことも理解できます。最近、大学病院等の受診に地元の「かかりつけ医」の紹介状が必要だそうです。税理士は両者を繋ぐ「かかりつけ医」になれるのです。


 にも関わらず、税理士が「かかりつけ医」として機能していない例が散見、どころか多く見られます。筆者が融資支援で残高試算表をお願いすると、開始残高が前月末残高と合っていない試算表や、現金がマイナスになっている試算表に出くわすこともあります。友人税理士に話を聞くと「税理士の顧問料は安売合戦なので、そんな処理を放置する税理士も少なくない」とのことでした。しかし、そんな残高試算表では金融機関からの信頼を大きく損ないます。本来なら資金調達できる企業も、できなくなってしまうかもしれません。



「偉すぎる税理士」も問題かも

 「我が社の税理士は同業者団体の要職にも就いている先生で、そんなズサンな処理はしない。料金も、高い。唯一の難点は、忙し過ぎて細かい相談に乗ってくれないことくらいだ。」このような話を聞く時もあります。こんな税理士を顧問とし続けるかどうかは社長の判断ですが、税務申告時(納税時期が差し迫っている時)まで納税額を伝えてくれない税理士なら、代わりを探した方が良いかもしれません。企業の資金繰りに無頓着な税理士が、金融機関とのコミュニケーションで上手く機能してくれるとは期待できないからです。



どんな税理士を選ぶべきか

 金融検査マニュアルが廃止され「事業性評価」が本格化する時代に、どんな税理士を選ぶのが良いのか?答えはもちろん「かかりつけ医」のように機能してくれる税理士です。経理処理を月次で行わず残高試算表を毎月に提出してくれない税理は文句なしに失格です。試算表に現れている異変(例:いつの間にか粗利率が低下→取引先がいつの間にか値上げしているかもしれない)を教えてくれない税理士も同様でしょう。


 一方で、キャッシュの減少をいち早く察知して資金調達の必要性を教えてくれ、必要があれば金融機関に同行してくれる税理士は貴重な存在です。高額の投資や借入時に相談に乗ってくれる税理士や、金融機関交渉で予想される金融機関からの質問にどう答えたらよいか教えてくれる税理士も同様です。このような税理士は税務顧問の域を超え「財務顧問」と言っても過言でなく、絶対に手放してはなりません。 




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プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。

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