「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第197回

企業のチャレンジを計画として形にする

落藤 伸夫 2022年2月21日
 


毎日のニュースを見ると新型コロナウイルス感染症の新規感染者数は2月第1週をピークに減少に転じているように見えますが、その水準は依然として高く、油断できません。コロナ禍が引き続いて「ウイズコロナ」が常態となることも織り込んでおいた方が良さそうで、経営者には今までとは異なる「新たな取組」が求められていると言えそうです。


このような状況下、前々回・前回で「新たな取組」の模範を探すことについて考えました。今回は、チャレンジを計画に昇華することを考えます。



計画が実行への踏み台になる

コロナ禍が猛威をふるう中、あるいはウイズコロナの中で生き残りと再発展を目指すなら、多くの企業には「新たな取組」が求められます。「それは分かるが、他社事例を模範にするとは如何なものか?それで良いなら、持続化や発展を遂げる企業が数多くいて良さそうだが、そんなに多くはない。このアプローチでは不足なのではないか?」と感じる方もおられるかもしれません。


実はご指摘の通りで、模範を見習って行動する企業・経営者はそんなに多くないというのが実態です。いや、「ほとんどいない」と言っても過言ではないでしょう。模範は、新たな取組を格段に容易にする条件ではありますが、行動に至る十分条件ではないからです。新しい取組への行動は、それほどハードルが高いものです。


高いハードルを飛び越すには、どうすれば良いか?ジャンプ力を鍛えるアプローチもありますが、もう一つ、踏み台を置くという方法があります。ビジネスにおける新しい取組において模範は踏み台の役割を果たしますが、ハードルは非常に高いので、模範だけでは飛び越えられません。では、どうすれば良いのか?もう一つ階段を設けるアプローチがあります。計画を立てるのです。


「全ては2度作られる」という格言があります。例えば新製品を作ろうとする時、設計図なしに取り組むことはありません。紙やコンピューターの中でバーチャルに(知的に)製作し出来栄えをシミュレーションして「これなら大丈夫だ」との確信を得た後に製作することで、リアルな製品作りの成功確率を格段に向上できます。新たな取組においても行動に先んじて計画を策定することは、とても有効な踏み台になります。



「言語化」によるメリット

いくら良い模範を見つけられても、そこでストップしたのでは行動は起こせず、成果を生むことはできません。行動を起こすには計画の策定が有効なのです。なぜ、そう言えるか。第1に計画は「見える化」であることが挙げられます。


心理学に「人は目で見たものが欲しくなる」という格言があるそうです。模範と同様の成果を目指しても、その成果が「儲かっているのだろうな」とのイメージに留まるなら行動する強い動機にはなりません。しかし計画書を策定して「○年後には窮地を脱せられる、□年後にはピカピカの会社になれる!」と目で見ることで、「よし!絶対に達成できるよう、取り組んでみよう」という決意に繋がるのです。


言語化にはまた、周囲の関係者の理解を得られるとのメリットがあります。企業が取組を行おうとする時の1番の関係者は従業員ですが、彼らも「××社(模範とする会社)を見習って頑張ろう」と言われただけでは動機は生まれず行動も起こせません。計画を見て、それを行えば会社が良くなること、それはとりも直さず自分たちにとってメリットになることを知ることで、行動する強い動機となるのです。また有力な関係者として金融機関も挙げられます。コロナ禍で事業が思うようにいかず財務体質が弱った企業への支援は、金融機関にとって非常に難しい判断ですが、しっかりとした計画書を受け取ることで前向きに検討できるかもしれません。



チャレンジを確実化するシミュレーション

計画のメリットの第2は先に述べた通りシミュレーションとなることです。計画段階で「準備が足りない、フォローもした方が良い」と気付いてブラッシュアップしたことで、必然の失敗を回避できるかもしれません。


「計画通りに進展することはないから計画策定は面倒なだけ」との声もありそうですが、「計画していない行動が執られる可能性はほとんどない。計画している以上の成果が上がることは稀」とも言えます。計画する面倒より、計画するメリットの方がはるかに大きいのです。

以上から「我が社でも真似できそうな模範を見付けた」という企業が多くとも、成功に至る企業は少ない理由が理解できると思います。実行と成果に繋がる計画を立て、是非とも企業のチャレンジを形にしてみてください。




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なお、冒頭の写真は 写真AC から keisuke3 さんご提供によるものです。keisuke3 さん、どうもありがとうございました。


 
 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。


HP:StrateCutions

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