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第202回

中小企業活性化パッケージの目的(推察)

落藤 伸夫 2022年3月28日
 



前回、政府が3月4日に発表した「中小企業活性化パッケージ(以下、「活性化パッケージ」ということがあります。)」の概要をお伝えしました。今回は、活性化パッケージの目的について深掘りしてみます。

https://www.meti.go.jp/press/2021/03/20220304006/20220304006.html



出口パッケージとの類似性

活性化パッケージには「コロナ資金繰り支援の継続と収益力改善・事業再生・再チャレンジの促進」との副題が付されており、「コロナ資金繰り支援の継続」と「収益力改善・事業再生・再チャレンジの促進」という2部構成になっていること、筆者はそのうち「収益力改善・事業再生・再チャレンジの促進」に注目していることについて、前回にお伝えしました。なぜ注目しているのか?以前に発表された同様の「パッケージ」との対比で、その目的が窺えるのではないかと考えているからです。


ここでいう「以前に発表された同様のパッケージ」とは、2012年4月に発表された「中小企業金融円滑化法の最終延長を踏まえた中小企業の経営支援のための政策パッケージ(以下、「出口パッケージ」ということがあります。)」です。中小企業金融円滑化法(以下、「円滑化法」ということがあります。)は、リーマンショックで大きな痛手を被った中小企業等が借入や住宅ローン等の返済に窮した場合でも企業倒産や個人破産等には至らないよう、希望すれば一定期間猶予することを金融機関に求めていました。円滑化法は2009年11月30日に可決・成立、当初は2011年3月末までの時限立法でしたが2度にわたって延長され、当時は恒久化される可能性が取り沙汰されていました。しかし実際には3度目の延長も恒久化も行われず、2013年3月末、期限切れで失効しました。


出口パッケージの冒頭で、中小企業の経営改善や事業再生等を促す目的があることが示された後、「金融機関によるコンサルティング機能の一層の発揮」、「企業再生支援機構及び中小企業再生支援協議会の機能及び連携の強化」、そして「その他経営改善・事業再生支援の環境整備」などの政策が示されました。円滑化法期限切れ1年前に再延長しない前提で、円滑化法による措置が終了しても中小企業等が大きなショックを受けることがないよう、事業改善等を促すことを目指していたと考えられます。



出口パッケージからの示唆

リーマンショックのような激甚といえる経済インシデント発生時には中小企業等を守る金融支援措置が設けられる一方、一定期間が経過すると支援措置は終了する、その時、企業等が金融支援がなくても自走できることを目指す、このため経営支援に係る複数施策(パッケージ)を金融支援を行っている間に用意する、というのが出口パッケージの構図だと理解できます。今回に発表された活性化パッケージも、同様の構図だと見て取れます。自走できる企業の育成という目的も同じと推察されます。


「そんな、金融支援が継続されれば何も問題ないのに」という経営者もおられるかもしれません。しかし、日本政策金融公庫で約30年にわたり信用補完制度(信用保証制度)の倒産審査に従事、1万8千以上の案件を審査してきた筆者からすると、この考え方はとても納得できます。これを、自然災害で生じた深い穴に落ちた人の救助を例に考えてみましょう。最初は、穴に落ちた人は怪我をしており、自然災害が再発する可能性を含め今後が不透明なので、飲食料や衣料等を穴に投げ込み延命させる支援を行います。しかし怪我も災害も落ち着いたら、穴から出ることを考えなければなりません。重機は持ち込めないので、周囲から最大限に支援しますが、最も大切なのは本人の決意や努力です。本人は、高い穴を這い上がるに必要な努力や苦労を予想し、また飲食衣料等が投げ込まれるのを待つ方がお手軽なので尻込みするかもしれませんが、それではお天道様を見ることはできず、人として当たり前の人生も送れません。「最大限の支援をするので力を振り絞りましょう」と励ますのが本当の支援です。


こう考えると活性化パッケージの「激甚な経済インシデントからしばらくたった時点で、自助努力で穴から抜け出そうとする努力への意欲をかき立てる支援を用意するという目的が、とても理に適っていると理解できるでしょう。今回のコロナ禍の場合、激甚インシデントは収束したとは言えませんが、ウイズコロナへの対応が必要とのコンセンサスが得られた状況なので、支援も新しいフェイズに移ったのです。もちろん影響を受けた度合いは各企業で異なり一概に言えませんが、多くの企業にとって「自助努力して事業改善等に取り組み、明るい未来を目指そう。がんばってみよう!」と決意することが、会社を守る原動力になると考えられます。




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なお、冒頭の写真は 写真AC から fujiwara さんご提供によるものです。fujiwara さん、どうもありがとうございました。




 
 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。


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