「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?plus

第289回

夢が実現する経路を描く

StrateCutions (ストラテキューションズ)グループ  落藤 伸夫

 



波乱で幕を開け、景気面などでは盛り上がりに欠けた2024年が終わろうとしています。「来年こそは会社を立て直していくぞ」と考えている経営者もいらっしゃることでしょう。その中で先回は「社員たちにできるだけ苦労を掛けさせないよう、会社は半病人で良いのでとにかく倒産だけはしない」という目標ではなく、「こんな夢なら実現したい」という目標を立てるようお勧めしました。今回は、それを実現する方法を考えていきます。



会社が立ち直りを目指す時の夢

「皆がやる気を出せるような目標を立てるという提案は、確かにもっともだ。しかし、そんな目標は実現できる可能性が少ない。社員たちに苦労させて実現できなかったら、今度こそ本当に愛想を尽かされてしまう。」それは何としても避けなければなりません。「では、そんな夢は抱くなということだな。」いいえ、そんな夢を実現する道筋をしっかり描いていくことをお勧めします。

先回、平均世代の社長は子供~青年期「夢は見るな、現実を見よ」と言われていたが、今や「夢を描いた人が成功する」と言われる時代になったとお伝えしました。なぜ、そう言われるのか?夢が、人が頭の中で描く夢想で終わってしまい実現しないものなら、そんな風に言われるはずがありません。今やその逆の時代になったのです。「夢しか実現しない」時代です。


会社の立ち直りは誰にとってもハッピーなことです。一番の恩恵を受けられるのは、もしかしたら社員たちかもしれません。働き場所を失って別の職場を探したり、その間の収入が得られなかったり、慣れない仕事に従事するやり辛さなども経験する必要がないからです。そのようなハッピーな状況が、「社員たちにできるだけ苦労を掛けさせず、会社は半病人で良いのでとにかく倒産だけはしない」という目標で、実現することはないでしょう。

「会社が倒産の危機を脱して『元気良い』レベルまで立ち直るとこんなに明るい、ハッピーな状況になれるのか。目標を定められて、やっとイメージすることができた。実現のためなら多少の苦労も厭わない、頑張ってみたい」状況を作り上げることで、実現する可能性が高まります。



大谷選手が描いた「夢を実現する経路」

「いや、そうはいっても、高い目標はそう簡単に実現できるものではない。」2024年の最も明るいニュースの一つに、アメリカ・メジャーリーグでの大谷翔平選手の活躍が挙げられます。前人未到の50-50を達成したばかりか、それを大きく超える結果を残しました。

では、大谷翔平選手の「成功の素」は何でしょうか?少なからぬ人が、大谷選手が高校一年生の時に描いた「ドラフトで8球団が一位指名」を実現するためのマンダラシートを挙げるでしょう。マンダラシートとは、最終目標を実現するために必要な要素を8項目挙げ、各要素ごとに実現に向けた取組を8項目挙げるシートです。大谷選手は8球団からドラフト一位を獲得するため「コントロール」や「キレ」、「身体づくり」などの項目を挙げました。

そして例えば身体づくりについて、どんぶり飯を毎日10杯食べるアクションプランを描いたのです。大谷翔平は高校時代に食が細く、もやしとあだ名されるほどだったので、このアクションプランの実行にはかなり苦労したとのこと。しかし「体格改造を実現しなければ8球団ドラフト1位はない」と覚悟して、必死の思いで毎日、どんぶり飯を10杯食べたそうです。


会社を立て直す場合にも、この方法は活かせられると考えられます。今、思うように売上を伸ばせない中で、満足な利益を出すためには何が必要なのか、まずは8項目挙げてみましょう。1つ、あるいは3つ、4つくらいまでは挙げられると思いますが、8つは意外と大変です。

参考として、大谷選手のマンダラを見てみましょう(インターネット上に多数アップされています)。大谷選手は「コントロール」や「キレ」など野球の技能だけでなく、「身体づくり」や「メンタル」、「人間性」などの基礎力まで挙げていました。

同様に企業でも、目標実現に向けた直接行動だけでなく、日々の努力を続けられ、社員の支持を得られる基礎力にまで想いを馳せることが、立て直しに繋がると考えられます。もし、過去には会社の立ち直りに向けた直接行動しか考えなかったのなら、今回は幅広に考えてみることが成功に繋がるかもしれません。是非、トライするようお勧めします。




本コラムの印刷版を用意しています

本コラムでは、印刷版を用意しています。印刷版はA4用紙一枚にまとまっているのでとても読みやすくなっています。印刷版を利用して、是非、資金調達する方法をしっかりと学んでみてください。


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なお、冒頭の写真はMS デザイナー により作成したものです。

 

プロフィール

落藤伸夫(おちふじ のぶお)

中小企業診断士事務所StrateCutions代表
合同会社StrateCutionsHRD代表
事業性評価支援士協会代表
中小企業診断士、MBA

日本政策金融公庫(中小企業金融公庫~中小企業信用保険公庫)に約30年勤務、金融機関として中小企業を支えた後、事業改善手法を身に付け業務・経営側面から支える専門家となる。現在は顧問として継続的に企業・経営者の伴走支援を行っている。顧問企業には財務改善・資金調達も支援する。

平成27年に「事業性評価」が金融庁により提唱されて以来、企業にも「事業を評価してもらいたい。現在の状況のみならず将来の可能性も見越して支援してもらいたい」との意識を持ち、アピールしてもらいたいと考えて『「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?』コラムを連載(2017年1月スタート)。当初は読者として企業経営者・支援者を対象していたが、金融機関担当者にも中小企業の事業性評価を支援してもらいたいと考え、2024年1月からは『「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?plus』として連載を再スタートさせた。

現在は金融機関職員研修も行うなど、事業改善と金融システム整備の両面からの中小企業支援態勢作りに尽力している。

【落藤伸夫 著書】

日常営業や事業性評価でやりがいを感じる!企業支援のバイブル

さまざまな融資制度や金融商品等や金融ルール、コンプライアンス、営業方法など多岐にわたって学びを続けながらノルマを達成するよう求められる地域金融機関渉外担当者が、仕事に意義を感じながら楽しく、自信とプライドを持って仕事ができることを目指した本。渉外担当者の成長を「日常営業」、「元気な企業への対応」、「不調な企業への対応(事業性評価)」、「伴走支援・経営支援」の5段階に分ける「渉外成熟度モデル」を縦軸に、各々の段階を前向きに捉え、成果を出せる考え方やノウハウを説明する。

Webサイト:StrateCutions

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