「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第76回

「事業性評価」依頼が失敗した時

落藤 伸夫 2019年2月12日
 

 本連載(第74回:2019/1/28発行)で、金融庁が「金融検査マニュアル」を廃止したのち、目指すは「事業性評価」なのだけれど、そのシフトはなかなか進まない可能性がある、このために中小企業の側で臨機応変な対応が必要であるとご説明しました。金融機関に事業性評価してもらうには、中小企業の側から積極的な情報提供することが有効なのです。


 「そうは言うが、我が社の将来性を示した事業計画書を提出しても金融機関は融資してくれなかったぞ。」そういうこともあるでしょう。「つまり『金融機関は今後、事業性を評価して融資してくれる』という命題は間違いなのではないか?」そう決めつけるのは早計です。失敗の原因と対策を検討してみましょう。



金融機関が事業性評価に対応できていない

 事業計画書を提出しても、それを評価して融資してくれなかった理由の第1として、金融機関が事業性評価に対応できていないことが挙げられます。中小企業の事業性を評価して融資判断するためには、前回にもご説明した通り、金融機関にとって今までとは違ったノウハウが必要になります。時には意思決定する仕組みも、変更しなければならないかもしれません。これらの準備ができていない金融機関に事業計画書を持ち込んでも、対応してくれる可能性は低いのです。


 では、どうすれば良いのでしょうか?「そこをなんとか!」と頼み込んでも対応してくれる可能性は低いでしょう。半年後、一年後には対応してくれるかもしれませんが、それまで待てないのならば、他の金融機関を打診した方が早いと思われます。



計画の妥当性を説明する

 「決算書など定量的情報だけを見ると当社について『先行きが読めない』と感じるかもしれないが、ここで説明する定性的な情報も鑑みてくれたら当社の事業継続可能性を高く見積もってもらえるはずだ」という思いを込めて作成した事業計画書でも金融機関が前向きにならない理由として、第2に「金融機関は、計画に記載されている内容が妥当か判断できない」ことが挙げられます。例えば、「現状の売上8000万円では損益分岐点を超えられず赤字だが、経営努力して1億円まで引き上げれば十分な利益が得られる。そのための資金を融資して欲しい」との事業計画を受け取っても、記載されている経営努力が妥当であると判断できないので、金融機関は積極的になれないかもしれません。


 ではどうすれば良いのでしょうか?この場合は計画の妥当性、例の場合なら「計画に盛り込んだ経営努力をすれば売上が増え利益が向上すると推測できる理由」を説明することで納得が得られるかもしれません。皆さんは金融機関から、SWOT分析(自社の強み・弱みと、経営環境で当社にとって有利なポイント(機会)と不利なポイント(脅威)の説明)や3C分析(顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の特徴や動向等の説明)を求められたことはありませんか?金融機関は、受け取った事業計画書の妥当性を確認したいと考えたのかもしれません。これに上手く対応することで前向きな検討の可能性が高まります。



計画の実現性を説明する

 「現状を打破して起死回生を図る」事業計画に対し金融機関が消極的な理由の第3は、金融機関は「事業計画書に記載されているアクションが実際に執り行なわれ、成果があがる」ことが確実と信じられる材料を、もう少し欲しいと考えているからかもしれません。「どうやって納得してもらうのか?私は既に、当社としての取組みを明記した計画書を提出したにも関わらず、相手は納得しなかったのだぞ。」確かにそうですね。


 取組みをしっかりと行なって成果をあげていくことについて、金融機関の納得を引き出す方法の一つに、第三者を巻き込むことが挙げられます。経営者ひいては企業と伴走して経営改善を確実に執り行われるようにし、成果を出していくことを助ける支援者の口から「目標実現に向けて今、私たちは○○の取組みをしています。」と説明してもらうことで、納得性を高めるのです。認定支援機関である税理士や中小企業診断士などと経営会議を行う方法が効果的です。


 「確かに、第三者を巻き込むのは有効だろうな。そうすることで、これまでとは一味違う、実現性が高い取組みを行っていることや、行動を確実に成果に結びつけられそうだと、金融機関に納得してもらえそうだ。」その具体的な方法や、メリットを最大限に生かす方法などについてお伝えするセミナーを、東京池袋で2月13日に開催することとしています。ご興味のある方は是非、以下URLをクリックしてみてください。  

https://www.innovations-i.com/seminar/schedule/2618.html




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プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。

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