「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第108回

特別貸付・特別保証で減額される理由

落藤 伸夫 2020年4月6日
 



新型コロナウイルス感染症による景気の大ブレーキに対応するため政府は、日本政策金融公庫(以下、「日本公庫」と言います)による特別貸付や信用保証協会による特別保証を実施しています。

一方で「申し込んだ金額を満額、融資してもらえなかった」との話を聞くこともあります。企業としては、コロナ禍を乗り切るために資金調達しようと思ったのに、期待した金額を調達できないのは、経営面でも心理面でも大変なショックです。今日は、特別貸付・特別保証においても減額されるのはなぜなのか(全ての案件をフォローできているとは思いませんが)考えてみます。


既存借入と合算されて限度額が算定されている

申込金額から減額される第1の理由は、今回借入について既存の借入残高と合算して限度額が算定されることです。日本公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付(新設制度で限度額6千万円)」は、最近1ヵ月の売上高が前年または前々年の同期比較で5%以上減少した方が利用できるます(業歴が1年1ヵ月以上の企業)。

現在は売上減少が5%に満たなくても今後の減少が見込まれる場合には「セーフティネット貸付」が要件緩和により利用できますが、もし既にセーフティネット貸付を活用していた場合には、限度額は既存借入と合算されます。例えば国民生活事業の限度額は4千8百万円ですが、既借入分の残高が3千万円あった場合、3千万円で申し込んでも限度額に収まるよう1千8百万円に減額されます。

このような状況ならば、今は「セーフティネット貸付」を利用して1千8百万円を調達しておき(金利減免特典なし)、1ヵ月の売上高が5%以上減少した時に改めて「新型コロナウイルス感染症特別貸付)」を申し込むことができます。資金繰りに余裕があり近いうちに1ヵ月の売上高が5%以上減少することが確実ならば、その時まで待つことで、調達金額の全額について金利の減免特典が受けられます。

信用保証協会においても同様の現象が生じる可能性があります。「危機関連保証(新設制度で限度額2.8億円)」は売上高が前年同月比15%以上減少した方が利用できますが、それほどの減少がないのでセーフティネット保証5号(売上高5%以上減少)を利用した場合、既存の借入と合算されてしまうのです。


必要金額の説明が不足している

申込金額を減額される第2の理由は必要金額の説明が不足していることです。金融機関(日本公庫・信用保証協会を含む)は借入の申し込みがあった場合に、そのお金をどのように使う予定なのかをチェックすると共に、各々が定めたルールでもって妥当と思われる貸出金額を決めています。よく耳にする「月商の3ヶ月分」は代表的なルールですが、資金使途によっては別の算出式等を用いて算出する場合もあります。

例えば公庫の利用が初めての企業が月商の6ヶ月分かそれを超えるような金額を申し込んだ場合、公庫は「本資金をどのように活用しますか?(言葉は、担当者や対象企業の状況等によって異なる可能性があります)」と質問するでしょう。その質問に対して「当分の間、売上が減少すると予想されるので、その備えとして必要と考えた金額です」と答えたら、減額される可能性が高いと思われます。公庫にとって、ルールを超える金額を認める妥当性が、その説明からは分からないないからです。

このような質問があったら是非、しっかりと計算して導いた必要金額を説明して下さい。例えば「当社は6人のエンジニアを抱え、事務所を賃借しているIT企業です。現在はほとんど仕事がなく夏頃に回復基調となり、秋頃に完全回復すると仮定すると、その間のエンジニア給料と家賃等を払い続けなければなりません。また仕事が完全回復しても売掛金を回収できるのは数ヶ月後です。このため今年一杯の固定費分を運転資金として確保する必要があると判断して申し込みました」と説明すれば、納得してもらえる可能性が高まります。できれば書面にして手渡すのが良いでしょう。


理由を聞いて対応する

申込金額を減額されて「わかりました」と言いながら帰ってから「困ったなぁ、これでは足りない」と言われる声を聞くことがあります。そうではなく、ぜひ減額理由を質問して対応を考えて下さい。妥当な理由を明確に説明すれば、事態を打開できる可能性があります。

「理由を聞いて第2の理由と分かったが、どう説明すれば良いのか分からない。」それなら是非、貴社をよく知る顧問税理士に相談して下さい。StrateCutionsでも、ご相談に乗っています。必要資金をきちんと調達して、この荒波を乗り越えましょう!

(StrateCutions連絡先)

https://www.innovations-i.com/shien/contact/13509.html



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本コラムでは、印刷版を用意しています。印刷版はA4用紙一枚にまとまっているのでとても読みやすくなっています。印刷版を利用して、是非、資金調達する方法をしっかりと学んでみてください。

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なお、冒頭の写真は写真ACからacworksさんご提供によるものです。acworksさん、どうもありがとうございました。


 
 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。


HP:StrateCutions

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