「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?plus

第314回

無意識の経営外製化を排す

StrateCutions (ストラテキューションズ)グループ  落藤伸夫

 




金利ある世界や骨太の方針な事業環境に大きな変化が生じている今、中小企業には「経営の内製化」が求められています。今回は、このことを掘り下げていきます。



外製化トレンドと内製化との色分け

「経営」の捉え方は様々ですが、ここでは「人の集まりである会社に、その目的を実現させるための取組み」としましょう。その範囲は幅広く、自社が今後、何を目指すか(ビジョン・戦略)から、誰をターゲットに何を、どれほどの価格で売るかの事業そのものあるいは戦術、そして時には「今、面談している相手をパートナーにするか否か」などの個別判断、あるいは社員をどのように処遇・育成するかなどの間接業務に係る意思決定などまで含まれます。

現場を担当幹部に任せられる会社なら、経営者の日頃の取組み全体と言えるでしょう。


実は外製化は、経営における「流行・トレンド」です。ファブレス企業とは、製造行為を外部に委託する事業形態です。例えば新製品の企画・開発とマーケティング・販売に特化するファブレス企業は、製造業企業の経営のうち製造に係る部分は外製化していると言えます。間接業務を外部委託する企業も増えており、例えば人事・労務について社会保険等の定型的処理を皮切りに、普通の企業であれば経営者が判断する事項の相当割合を他に代わってもらっている例があります。

「強みであり、かつ他に代替がきかない業務」に自社資源を集中するのです。


「以上のトレンド等からすると、経営を内製化すべきとの指摘は時代遅れなのではないか?」との疑問があるかもしれません。ここで指摘しているのは、経営について無意識に外製化してしまうことです。

「我が社はコア・コンピタンスに集中する。だからその他の部分については経営を外製化する」という意識のない外製化です。


コア・コンピタンスについて自分でしっかりと考えて経営していれば、それ以外について外製化したとしても、中心事業との矛盾等により「おかしい」と気付き、是正できます。

しかし我が社の根幹を支える部分についての経営が確立していないと、意識して外製化したところが暴走しても、抑えることも、気付くこともできません。こうして会社がガタガタになってしまうのです。


外製化できる部分と、内製化を死守すべき部分

「経営において外製化できるものと、内製化を守り抜く必要があるものと、どうすれば区別できるだろうか?」

「選択肢=決定(縦軸)」そして「思考=実務(横軸)」2軸マトリクスで考えられます。縦軸のうち選択肢準備は、戦略や投資、人事や会計等の専門家からアドバイスを得、選択肢を作成してもらう等の外製化が可能です。

一方で決定は、ビジョン・戦略や投資判断などの思考場面では会社=経営者自身が内製化する必要がありますが、就業規則や決算書、事業戦略説明書の作成等、実務の中には専門家の力を借りられるでしょう。但し人の採用等、内製化を守らねばならない部分も、もちろんあります。


「選択肢を外製化できるなら、それはほとんど任せられるという意味だ。後は選ぶだけだから。」これが、経営における大きな誤解の1つだと思います。意思決定が「問題認識」、「情報探索」、「選択肢評価」、「決定」、「決定後行動」の5段階で行われると考えると、選択肢評価は3段階目に過ぎません(購買意思決定の5段階を参考)。

「決定」で最大の時間・労力、知恵が必要となります。そこで最も大切なのが「決定基準」つまり「何が満たされたらOKとし、満たされなかったらNOとするか」です。経営においては決定基準が1つということはあり得ないので複数を準備、それらの重み付けがポイントです。

ここで「同業他社はどうしているのか?」、「最大の取引先(元請け企業等)はどう評価するか?」あるいは「社員はこの方向性に納得するか?」もしくは「専門家の提案だから」のウエイトを高め、会社の持続や発展、あるいは立て直しに必要な取組みについて是々非々で検討・判断できなければ、それはつまり意思決定の全体を外製化していることに他なりません。

同業他社の動向も、取引先の意見も、社員の声も重要ですが、それらは経営判断の材料であって、経営判断そのものではないのです。


「そういわれると自社では、同業他社や取引先、従業員のなどの意見に重きを置き、自社自身の意見を持てずに来たかもしれない。どうしたら持てるようになるのだろうか?」身近な顧問税理士などが相談相手になってくれるかもしれません。

StrateCutionsでもご相談に応じています。シンプルな質問フォームに回答頂くことで、貴社が経営判断を自社に取り戻すお手伝いをします。




本コラムの印刷版を用意しています

本コラムでは、印刷版を用意しています。印刷版はA4用紙一枚にまとまっているのでとても読みやすくなっています。印刷版を利用して、是非、資金調達する方法をしっかりと学んでみてください。


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なお、冒頭の写真はChatGPTにより作成したものです。









 

プロフィール

落藤伸夫(おちふじ のぶお)

中小企業診断士事務所StrateCutions代表
合同会社StrateCutionsHRD代表
事業性評価支援士協会代表
中小企業診断士、MBA

日本政策金融公庫(中小企業金融公庫~中小企業信用保険公庫)に約30年勤務、金融機関として中小企業を支えた後、事業改善手法を身に付け業務・経営側面から支える専門家となる。現在は顧問として継続的に企業・経営者の伴走支援を行っている。顧問企業には財務改善・資金調達も支援する。

平成27年に「事業性評価」が金融庁により提唱されて以来、企業にも「事業を評価してもらいたい。現在の状況のみならず将来の可能性も見越して支援してもらいたい」との意識を持ち、アピールしてもらいたいと考えて『「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?』コラムを連載(2017年1月スタート)。当初は読者として企業経営者・支援者を対象していたが、金融機関担当者にも中小企業の事業性評価を支援してもらいたいと考え、2024年1月からは『「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?plus』として連載を再スタートさせた。

現在は金融機関職員研修も行うなど、事業改善と金融システム整備の両面からの中小企業支援態勢作りに尽力している。

【落藤伸夫 著書】

日常営業や事業性評価でやりがいを感じる!企業支援のバイブル

さまざまな融資制度や金融商品等や金融ルール、コンプライアンス、営業方法など多岐にわたって学びを続けながらノルマを達成するよう求められる地域金融機関渉外担当者が、仕事に意義を感じながら楽しく、自信とプライドを持って仕事ができることを目指した本。渉外担当者の成長を「日常営業」、「元気な企業への対応」、「不調な企業への対応(事業性評価)」、「伴走支援・経営支援」の5段階に分ける「渉外成熟度モデル」を縦軸に、各々の段階を前向きに捉え、成果を出せる考え方やノウハウを説明する。

Webサイト:StrateCutions

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