知恵の経営

第278回

困り事に特化、信頼獲得でモチベーションもアップ

アタックスグループ 2021年3月17日
 
今回は、静岡県三島市で、関東一円にある20カ所の営業所を通して、毎月約1000棟の工事を受注する総合外装事業とアジア人材育成&活用事業を行う南富士を取り上げる。

同社は1944年、現会長の杉山定久氏の父親が杉山製材所として創業した。先代からバトンタッチした際、これからは「既成概念にとらわれない、柔軟な発想の、もっとわくわくする、価格決定権のある元請事業をやろう」と強く決意した。

同氏は、某メーカーの屋根材・外壁材の代理店だったことから、その販売と施工に特化すると決めた。この分野では、新築の屋根施工やリフォームの屋根葺き替えは数百万単位の工事になり利益率も高いため、多くの企業が対応する。

一方、屋根の小工事は手間がかかり採算性が悪いためどの業者も敬遠する。台風被害の対応も大工事につながることはまれで、手間と労力の割に採算性が悪い。そんな中、同社は、他社がやらない屋根の小工事や台風被害などの困り事に特化し、迅速に対応している。この結果、困り事を抱える多くの客から大いに感謝され、社員や職人のモチベーションは極めて高い。当然ではあるが、客から信頼され、毎月約1000棟の工事を受注することとなり、日本最大の外装工事会社となった。

また、同社は職人育成力が極めて高い。住宅建設業界では、これまで十分な職人育成がされてこなかった。そこで、未経験者から一人前の職人に育成する独自の教育システムをつくった。健康でやる気の高い屋根職人の見習い希望者を集め、半年間の研修を行う。見習いは、最初の1~2週間で工事現場に慣れ、その後、3~5カ月で、さまざまな現場に出る。研修期間中に60~70の現場で、全ての種類・タイプの屋根工事を経験し、どんな屋根工事にも対応できる技術を身につける。

さらに、現場では、技術指導のベテランの親方が基礎技術を指導し、客の悩みや相談に応えることで人間力も鍛えられる。また同社では、専属契約をする職人やネットワークに所属する熟練職人を500人抱えている。

大変なネットワーク力である。きちんとした仕事をする職人にいつでも発注できるネットワークが大切と考えた同氏は、技術がしっかりしており、安全な仕事をし、マナーもいい職人さんを育成して、信用を獲得しようと考えた。同社は品質を保証するために、業界でいち早く10年間保証制度を採用し、客に、同社の工事が安心してもらえるものというアピールと、常に高品質を保つという自信のほどを示した。業界では高齢化、若者の現場離れなどにより、職人が年々減少していく中、同社は500人という職人集団が決定的な強みとなり、有事にも強い。


アタックスグループ主席コンサルタント・西浦道明
2021年3月17日フジサンケイビジネスアイ掲載
 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。


HP:アタックスグループ

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