知恵の経営

第174回

無農薬発芽野菜を究める

アタックスグループ 2018年10月15日
 
独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となり高収益を獲得・維持している企業を紹介している。今回は野菜づくり農業、ちこり焼酎の製造販売、教育型観光生産施設「ちこり村」の運営、種子開発事業などを行うサラダコスモ(岐阜県中津川市)の池クジラぶりを見ていきたい。

同社は中田智洋社長の父親が1945年、中田商店として創業。ラムネ飲料の製造販売をしていたが、冬場の副業でもやしを栽培していた。78年、脳梗塞で倒れた父親に代わり28歳で社長に就任。80年、子供の虫歯を助長する後ろめたさからラムネビジネスの廃業を決め、もやしビジネス専業となった。

ところが当時、もやし業界では漂白剤、保存剤、殺菌剤などが、見た目を良くし日持ちを長くさせるため、必要悪として使われていた。そんな考えに賛同できなかった中田社長は、種から良質なものを選び、無漂白・無添加で栽培することにした。しかし、傷みやすいし、すぐに黄ばむ。スーパーは見た目の悪さを理由になかなか店舗に置いてくれなかった。そんな中、生活協同組合だけは「食品の安全」にこだわり採用してくれた。サラダコスモのもやしは、生協で評価が高まって、大手スーパーにも広がり、80年代前半には世の中の主流となった。

もやしに続き、カイワレ大根、豆苗、アルファルファ、発芽大豆、ブロッコリー・空心菜・おくら・ささげ菜などのスプラウト(発芽野菜)を工場生産していった。一方、大学との共同研究でもやしの鮮度が落ちない包装紙を開発。それまで半径30キロといわれたもやしの商圏を、300キロまで飛躍的に拡大した。こうして無添加・無農薬・無漂白の新鮮な野菜を安心・安全な状態で大量に工場生産し、大消費地に鮮度を落とさず流通できるようになった。

また、中田社長はオランダで出合った野菜「チコリ」の国産化に取り組んだ。ちこり事業は国内での流通量・競合が少ないため地元の生産者を邪魔しない上に、食料自給率の向上に貢献できる。さらに耕作放棄地を有効利用でき、高齢者の働く場の確保も可能なため、特別に力を入れた。

思いを形にしようと2006年、チコリを生産・販売するのにとどまらず、教育型観光施設を立ち上げた。チコリから作った焼酎・茶・珈琲・クッキー・アイスを売る店舗、レストラン、ベーカリー、カフェまである「ちこり村」である。開設当初1日当たり5、6人だった来園者数は、17年は約30万人に達した。ここで追求しているのは真の循環型農業だ。

同社は、無添加・無農薬・無漂白で安全・安心、食べて健康という思いで事業開発・商品開発を進めてきた結果、有機栽培・無農薬の発芽野菜を大量生産して全国の大消費地に届ける池を築き上げ、そのクジラとなっている。

<執筆>
アタックスグループ主席コンサルタント・西浦道明

2018年10月15日フジサンケイビジネスアイ掲載
 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。


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