知恵の経営

第194回

「当たり前」が出来ない社会

アタックスグループ 2019年4月23日
 
企業の不祥事に関する報道が後を絶たない。特に多く報道されているのが、食住に関わる企業の不祥事問題・不適切動画問題である。食で言えば、大手コンビニチェーン店の店員が、商品をレジ袋に入れる際に、パッケージやペットボトルの飲み口をなめる様子を撮影した映像をネット上に投稿した問題。また大手牛丼チェーン店でも、やはり店員が床に氷のようなものを投げたり、調理器具を本来の使用目的とは明らかに異なる方法で使用したりした映像をネット上に投稿していた。

いずれも、非正規社員が起こした問題で、バイトテロなどと呼ばれているが、非正規だから許されるというわけには当然ならず、その企業・ブランドイメージの低下は計り知れない。

住で言えば、賃貸不動産大手企業が、賃貸アパートの施工不良問題を起こしている。報道によれば、その企業が建設した建物は、耐火構造や遮音性で国の基準を満たしていないなどの不備が見つかった。この問題を放置すると、万が一、火災が起きた場合、通常よりも燃えやすくなり、建物の内部や外部からの火災の延焼を速めるという問題が起こるという。

さらに、この問題は入居者だけではなくオーナーにも大きな影響を及ぼしている。それにもかかわらず、企業が開いた説明会には、問題を引き起こした社長は出席しなかった。この場に出てこないで、「一日も早く、信頼回復を実現できるように尽力してまいります」と言っても、その言葉を信じられる人はどれだけいるだろうか。

いずれにしても、企業の不祥事はどんな小さなことでもあってはならないが、今回のような、食住に関する不祥事は絶対にあってはならない。
不祥事を起こしていない企業の方が圧倒的に多いが、不祥事が起こる度に、真面目に経営している企業が疑いの目で見られるのは残念で仕方がない。多くの企業は当たり前のことを当たり前にやっている。ただ、一部の企業で、業績が企業目的になってしまい、その達成のために企業が大切にすべき人たちを犠牲にした経営が行われ、不祥事を起こしていく。

この連載の執筆者の一人でもある坂本光司氏は、「正しいか、正しくないか」「自然か、不自然か」を経営判断の軸にすれば、大きな間違いはないと言っている。また、これまで筆者がお会いした経営者も「自分が逆の立場だったら、どうすべきであるかを考えている」「自分が嫌なことは絶対にしないし、させない」と話す方ばかりだ。

これらのことは言われるまでもなく、当たり前のことと誰もが分かっているのに、実際にできていない。なぜ、できなくなったかを冷静に考えないと、今後も大きな間違いを起こし続けることになるだろう。

<執筆>
アタックス研究員・坂本洋介 

2018年4月23日フジサンケイビジネスアイ掲載

 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。


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