知恵の経営

第172回

人口減少時代 重要な人づくり

アタックスグループ 2018年10月1日
 

最近「人口減少時代の経営と組織・人づくり」というテーマの講演をした。長期的かつ巨視的な視点で経営環境に影響する未来を展望すると、(1)グローバル化(2)情報化社会の進展(3)少子化・高齢化(4)地球環境の保全の4つの基本的な潮流がある。一番考えなければならないのは少子化・高齢化だ。


生産年齢人口(15~64歳)は1990年代の後半から昨年までに約1000万人も減少した。出生数も昨年は戦後最低の96万4000人となった。経営上必要となる資源は人・物・金・情報といわれるが、これからは「人」が圧倒的に重要になる。


トヨタ自動車には「物づくりは人づくり」という言葉がある。優れた車は優れた人々によって製造される。「人づくり」をしなければ、優れた車を作ることができない。また、経営環境が激変する時代にあって環境変化に合わせてビジョン・戦略を打ち出し計画策定・実行をしていくのもリーダー・マネジャーという「人」である。


20世紀は資本主義によって経済が発展した。戦後の日本経済はまさに資本主義の流れで高度成長を成し遂げた。しかし少子化が進む今日は企業経営で必要なものはお金よりも人材である。時代は資本主義経済から人本主義経済へ変わった。これからは人材を採用し、人材が“人財”となる教育をし、人財が定着する会社でなければ長期的な存続・発展は困難だ。


例を挙げよう。伊那食品工業(長野県伊那市)という、業務用・家庭用寒天を製造販売している超優良企業がある。経営理念は「いい会社をつくりましょう。たくましくそしてやさしく」である。


社員が幸せになる会社づくりを行うことで働きたい人がたくさん集まる。そのためには顧客に必要とされる良い製品を提供できる実力(たくましさ)を持った会社でなければならない。同社のようでなければ人口減少社会で生き残ることは難しい。このような会社になるための組織・人づくりの着眼点を考えてみたい。


1つ目は社員の成長を促す自立創造型の人材づくり。(1)会社が求める人材像を明確にし、継続的に学習する仕組みづくり(2)小集団自己完結かつ相互支援組織、つまり互いに競い合い高め合う集団づくり(3)小集団の成果を測定し評価する制度づくりと効果的な運用-が重要だ。


2つ目は経営者が最高の教育者であること。経営者の役割は(1)社員にビジョン・戦略を示す(2)困難に遭遇したとき、先頭に立つ(3)組織内でのもめ事の調整(4)経営理念の伝道師-といったところだが、要約すればこれらを通して社員を教育し、自分自身も成長するのが経営者だ。


3つ目は社員にとって「働きがい」のある職場を全員参加で取り組むこと。働きがいのある職場とは、(1)会社の存在価値と仕事に対する誇り(2)社員同士の連帯感(3)マネジメント層(社長・役員・上司)に対する社員の信頼-があることだ。


いよいよ人口減少時代が本格化してくる。これからの経営と組織・人づくりの参考になればと思う。


<執筆>

アタックスグループ主席コンサルタント・丸山弘昭


2018年10月1日フジサンケイビジネスアイ掲載


 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。


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