知恵の経営

第191回

期待して新人を育てる

アタックスグループ 2019年4月2日
 
少子高齢化で働く人々が減り続ける中で、経営者の悩みは求人難だろう。学生に魅力を感じてもらえるよう、事務所のリニューアルや移転を考えたり、勤務条件、給与水準を見直したりしている。採用をめぐる企業間競争は激しいが、学生が就職を決める要因で見落としてならないのは入社した会社で自己成長できるかということだ。

事業を営むことで社会貢献している。こんなビジョンを掲げて長期的に会社を成長発展させたいと考えている。このためにこんな人に入社してもらいたい。入社後は教育研修をし、一人一人が成長する輝く舞台を提供する。こうしたことが入社希望者の成長期待に応えることであり、入社の動機になるのではないか。

4月は新入社員の受け入れシーズン。求人難の中で、社長自ら人事部門と一緒になって汗を流して採用した金の卵たちだ。一人の採用は億単位の大変な投資となるので一日でも早く一人前に育ってほしいと願う。そこで教育に知恵を絞り、力を入れなければならない。

教育心理学で「ピグマリオン効果」という理論がある。ピグマリオンは、ギリシャ神話に登場するキプロスの王様で、自らが刻んだ女性の石像に恋をしてしまった。この彫像を生きた人間に変え、妻にしたいと熱烈に祈るうちに愛と美の女神アフロディーテがこの願いを聞き入れ、その彫像に生命を与えてガラテアという名の妻(人間)にしたという。

ピグマリオン効果は、米国の教育心理学者、ロバート・ローゼンタールによって提唱された期待と成果に関する効果のこと。ローゼンタールは学校での実験を通して「人間は常に相手の期待に対して最も敏感に反応する」と主張した。先生が生徒は優秀で真剣に教育することで伸びる可能性が高いと期待を掛けることで実際に成績が伸びる「教師期待効果」を教えてくれた。

企業の新人教育で一番大切なのは、OJT(オンザジョブトレーニング)であることに変わりはない。新人を受け入れた職場の管理職は、まずはピグマリオン効果を信じて教育に当たることが必要だと思う。

筆者が大事にしている言葉に「美点凝視」がある。どんな人も美点(素晴らしい点)があり、その美点を凝視(注目)し承認する(褒める)ことで、人はやる気と自信を持ち成長する。管理職には、美点凝視も意識して新人の指導に当たってもらいたい。求人難の時代である。少子化時代で育った新人を受け入れて戦力化する主体は職場の管理職だ。自分たちが先輩から厳しく鍛えられ、育った30年前の経営環境とは違い、褒めて育てることも必要という自覚が必要である。

<執筆>
アタックスグループ主席コンサルタント・丸山弘昭
2019年4月2日フジサンケイビジネスアイ掲載
 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。


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