知恵の経営

第186回

「社長の給料」適正額は? 日産ゴーン氏の事件をきっかけに議論活発化

アタックスグループ 2019年2月19日
 
日産自動車の前会長であったカルロス・ゴーン氏の事件をきっかけに、企業経営そのものに関する議論が活発化している。その一つが社長の給料(年収)問題である。

東京商工リサーチの資料によると、わが国の上場企業役員で年収が1億円以上は457人、社数では221社ある。なかには5億円どころか10億円以上の役員も少なからずおり、一般のサラリーマン・サラリーウーマンが約40年働いて得る生涯収入が約2億円であることを考えても、正直、常識外れの年収を得ていることになる。

一方、中小企業の社長の年収はというと、小企業などにおいては約600万~800万円だが、中企業になると高くなり約1000万~2000万円が一般的である。規模が違うとはいえ、同じ社長業でありながら、大企業と中小企業の社長の給料は極端に違う。

では、大企業・中小企業を問わず、社長の給料はどのくらいが適正なのか。その企業の業績のレベルや支払い能力があれば、いくらでもいいのか-。筆者は決してそうは思わない。

というのは、何事にも「ほどほど」があるように、世間の常識や頑張る社員から見た納得感から出された金額があると思えるからだ。このことを少し乱暴だが試算してみよう。

周知のように大卒新入社員の年収は約300万円。この金額は8時間労働に対する対価だ。

では、社長はというと、誠実な社長は24時間労働である。つまり、新入社員の「3倍」働いていることになる。社長が社員の2倍働く分は、深夜や土、日、祝日もあるので、「2×1.5(割増賃金)」で「3倍」となる。つまり、社長は新入社員の「3倍プラス3倍」で6倍働いていることになる。

もとより仕事は「量」だけではなく、より重要なことは「資」であることは百も承知でだが、あえて言えば、それは社長の宿命であり、「それが嫌なら社長になるな」と言いたい。

こうして考えると、常識的に言って、社長の給料は大企業・中小企業を問わず、高くても、新入社員の6倍程度ということになる。その意味で言えば、億を超える年収などは、どんな事情があるとはいえ、あり得ない金額ともいえる。

もしも自分の年収を6000万円にしたいならば、新入社員の年収を1000万円にすべきだともいえる。

<執筆>
経営学者・元法政大学大学院教授 人を大切にする経営学会会長 坂本光司

2019年2月19日 フジサンケイビジネスアイ掲載
 
 

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顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。


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