知恵の経営

第274回

古民家を改築 100年運用目指す鎌倉投信

アタックスグループ 2021年1月27日
 
大多数の投資運用会社が東京に集中している中で、あえて神奈川県鎌倉市で築100年を超す古民家を改築し、これからの日本に必要とされる会社に投資を行う、鎌倉投信を取り上げる。

現社長の鎌田恭幸氏には、2000年くらいから、「世の中の金融の動きは、短期利益志向が強くなり、金融が社会に役に立っているという実感が薄らいできていた」という失望があった。また、「金融が健全に機能しないと、どんなに素晴らしい企業や活動も、社会の中でよりよく発展しない」という気付きもあった。

そんなことから、同社は08年11月、同氏ら大手資産運用会社の仲間4人によって設立された。同社は投資家から集めたお金を運用するのが業務だが、その投資哲学は、他社とは明らかに異なる。同氏は、「投資は『まごころ』であり、金融は『まごころの循環』」と主張し、一切ぶれない。

具体的には、「いい会社」に限定して投資し、その経営姿勢が変わらない限り、継続保有するという。したがって、満期を無期限にできる「投資信託」を採用している。また、公募で、不特定多数の個人投資家から1万円という少額からでも参加できるようにしている。また直接販売することで、投資家に運用者の顔が見えるようにしている。

こうした考え方で組成された投信が「結い2101(ゆいにいいちぜろいち)」である。その名前の由来は、人々が助け合い、協力し合っていく大切な日本の文化を受け継いでいこうという思いにある。「2101」は次の世紀(22世紀)につながる価値を皆でつくっていこうという意味だ。100年続く投信を通じて、200年、300年発展する企業を応援するという思いが込められている。

同社は、世の中によくある顧客受けするテーマで資金を集めたり、短期の売買により投資家の利益を追ったりする、かつて常識とされた投資運用業の会社とは完全に一線を画した投信を組成してきた。

「きれいごと」「考えが甘い」と言われてきたが、今や、ESG投資(環境や社会問題への取り組みを重視する投融資)などと、世の中の方から鎌倉投信の考え方にすり寄ってきている。新型コロナウイルスショックの大幅な調整期を挟んでも、20年8月末で過去10年のリターンが年率7.8%、リスク年率9.2%、安定性の尺度として用いられるシャープレシオ(リターン÷リスク)が0.8と、当初の目標を実現する運用成果を挙げている。

同社は、短期的リターンを求める投資ではなくて、「いい会社」を長期的な視点から応援する、という投資哲学において高い評価を得た。


アタックスグループ主席コンサルタント・西浦道明
2021年1月27日フジサンケイビジネスアイ掲載
 
 

プロフィール

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顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。


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