知恵の経営

第197回

全員参加型が経営の王道

アタックスグループ 2019年5月21日
 
松下電器産業(現パナソニック)を創業した松下幸之助は「経営の神様」と呼ばれていた。松下幸之助の経営哲学を学んだ経営者の中で最も偉大な人物は京都セラミック(現京セラ)を創業した稲盛和夫であろう。現在の「経営の神様」と呼んでも良いと思う。

稲盛氏のすごさは京セラを創業し成功させただけでなく通信が規制緩和で自由化されたとき第二電電(現KDDI)を立ち上げ成功させたことである。さらには2010年1月に会社更生法が適用された日本航空(JAL)の会長を誰も手を挙げる人がいなかったため引き受け、2年8カ月で再上場させ見事に再建したことである。

JAL再生を題材にして稲盛氏の経営について記述してみたい。稲盛氏が考え抜いた経営の原則はフィロソフィーとアメーバ経営の2つである。JAL再生にあたり、稲盛氏は2人の人物を同伴させている。1人がフィロソフィー、もう1人がアメーバ経営を担当した。

まず1つ目のフィロソフィーであるがこれは組織の全員に意識改革を促すものである。JALでは50人ほどの経営幹部に対し、稲盛氏自身も講師を引き受け京セラフィロソフィーの勉強会を開き、意識改革を促した。経営幹部の勉強会がスタートした半年後にはJALフィロソフィーが制定され全社員への「JALフィロソフィー」教育も始められている。

2つ目はアメーバ経営である。これは全員参加型経営を確立するための管理会計システムである。27歳で独立した稲盛氏は会社が大きくなるにつれ多忙を極める。製品開発・製造・販売と常に自らが先頭になって仕事をしなければならず限界に達する。そんな時に自分の分身として仕事をしてくれる仲間に強く求めることになる。そこで考えついたのがアメーバシステムである。

複雑な会社の経営を管理可能な小さな集団(アメーバ)に分け、アメーバのリーダーに仕事の責任者を依頼するシステムである。会社全体のリーダーとなると人並みの力量では管理できないが10人程度のアメーバであればリーダーの任を担える人は多く存在する。アメーバごとの採算計算表を毎月作成し、各アメーバの実績として1時間当たりの付加価値を計算し各アメーバに対して付加価値向上のための努力を促す仕組みである。アメーバのリーダーとなることでミニ経営者としての能力が磨かれることにもなる。JALにあってもアメーバシステムが導入され「正しい数学を基に経営を行う」経営が実行されている。

稲盛氏が50年の経営者経験を基に築き上げたフィロソフィーとアメーバシステムを軸として全員参加型経営を行うことは、変化が常態化している現在でも経営の王道であると思っている。

<執筆>
アタックスグループ主席コンサルタント・丸山弘昭
2019年5月21日フジサンケイビジネスアイ掲載
 
 

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アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。

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