知恵の経営

第162回

育成は「期待」「美点凝視」で

アタックスグループ 2018年6月18日
 
筆者は顧問先の経営者との面談で、「社長が重要だと思う経営課題を3つ挙げるとするとどんなことか」を聞くことが多い。回答の中でほぼ共通している課題は人材の採用と育成だ。新入社員が配属されて、悩む管理職も多い。今回は職場での新人育成について解説したい。

新入社員は超求人難の中で採用した金の卵。人材採用は大変な投資であり、一日も早く一人前に育ってほしいと教育に力を入れる。

新人教育は社会人としての仕事の心構え、マナーなど一般的な集合研修を経て職場に配属された後のOJT(職場内訓練)教育が中心になることは昔も今も変わりなく、上司の役割が極めて重要になる。

ここで教育分野における「ピグマリオン効果」を紹介したい。ピグマリオンとはギリシャ神話に登場するキプロス島の王様で、自らが刻んだ女性の石像に恋をしてしまう。彫刻を人間に変え、妻にしたいと熱烈に祈るうちに愛と美の女神、アフロディーテが願いを聞き入れ、彫刻に生命を与え、ガラテアという名の妻(人間)にしたという逸話だ。

ピグマリオン効果とは、1964年に米国の教育心理学者、ロバート・ローゼンタールが提唱した期待と成果に関する効果のことだ。ローゼンタールは学校での実験を通して「人間は常に相手の期待に対して最も敏感に反応する」と主張した。

普通の知能テストを行い、実際には優秀でもない生徒の名簿を教師に渡し「テストの結果から考えてこの生徒たちは数カ月間に成績が向上する可能性が高い」と説明した。数カ月後に計測してみると、名簿に記載された生徒たちの成績が他の生徒と比較して明らかに確認できる程度に向上したという。

期待を掛けられた生徒に発生する効果より、期待を掛けた先生側が気付かないうちにしていた、辛抱強く教えたり、答えにヒントを与えたりするといった行為によるところが大きいとされる。この効果は教育心理学の心理的な行動一つで、教師の期待により生徒の成績が向上する「教師期待効果」と呼ばれる。

経営者の立場で考えれば、わが社を選んで入社してくれた新入社員は金の卵だ。一日も早く戦力化したいのであれば「ピグマリオン効果」「教師期待効果」を職場の管理者、上司に知ってもらうことが極めて重要ではないだろうか。

さらに付言すれば筆者が大変大事にしている言葉に「美点凝視」がある。どんな人間にも美点(素晴らしい点)があり、その人間の美点を凝視(注目)することで、本人はやる気と自信を持ち、成長するということである。職場の管理者、上司は「美点凝視」も意識して新人の指導に当たってほしい。

<執筆>
アタックスグループ主席コンサルタント 丸山弘昭

2018年6月18日フジサンケイビジネスアイ掲載
 
 

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アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。


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