知恵の経営

第175回

「従業員」という言葉の違和感

アタックスグループ 2018年10月22日
 
先日、ある経営者と話をした際に、「従業員」という言葉への違和感に関する話題が出た。その経営者は、私たちが何気なく使っている従業員という言葉に、以前から違和感があるという。実は私も、それでは何が正解なのかといわれると分からないが、違和感を持っていた。

そこで、従業員の言葉の意味を辞書で調べてみると「雇われて、ある業務に従事している人」と記載されていた。業務に従事している人なので、「従業員」で間違いはないとは思う。

ただ、別の解釈をすると、雇われて、業務に従わされている人と捉えることもできなくはない。ただし、いずれにせよ「雇われて」という言葉に、どうしても企業側からの目線、企業と従業員の上下関係を少なからず感じてしまう。

企業と従業員の関係はさまざまあるが、少なくとも主従の関係ではないように思う。実際、本連載の執筆者の一人で経営学者の坂本光司氏は、企業経営の目的の一つとして「企業経営の目的を追求・実現するためには、経営者は関係する人々が、『自分たちは企業から大切にされている』と実感する経営をトコトン行わねばならない」といっている。

さらに、「関係する人々が幸せを実感し、働きがいの高い企業で、業績が低い企業は歴史上存在しない。一方、業績や勝ち負けを過度に追求し、企業経営の最大の目的・使命をおろそかにしている企業で、長期にわたり繁栄した企業は歴史上存在しない。つまり、業績や勝ち負けを追求する経営をしている企業では、最も重要な『人』をコスト・原材料・景気の調整弁のように評価・位置づけてしまっている」ともいっている。

企業経営で最も重要な「人」とは、坂本氏も常に言っている通り、社員とその家族である。それは、顧客が喉から手が出るほど欲しい商品を創造するのは「社員」だからであり、また顧客が感動し、ファン・リピーターになるような価値あるサービスを提供するのも「社員」だからだ。それゆえ、所属する企業に不平・不満を持ち、大切にされていないと感じている社員が、企業の業績や上司の出世を手伝うようなことは正直ないと思う。

やはり、ES(従業員満足)なくしてCS(顧客満足)なしなのである。

「従業員」という言葉を変えろというのは、これまで使われ続けてきたこともあり、なかなか難しいかもしれない。

だが、企業と従業員の関係性と意識をもう一度見直し、「従業員を一人の『人財』としてみているのか」「自社に所属することで、従業員が喜びをかみしめられるような経営ができているか」を考えてみてはどうだろうか。

<執筆>
アタックス研究員・坂本洋介

2018年10月22日フジサンケイビジネスアイ掲載
 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。

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