知恵の経営

第198回

男性だって育児はしたい

アタックスグループ 2019年5月28日
 
既に報道されているように、三菱UFJ銀行が2歳未満の子供を持つ全ての男性行員を対象に、育児のための休暇を1カ月取得することを事実上義務付ける制度を5月から始めると明らかにした。出産の約1カ月半前をめどに、育休取得の計画書を上司に提出する仕組みもつくるという。育休期間の過ごし方や、家庭の状況などを任意で書いてもらい、周囲の理解を得やすくすることも検討している。

男性育休を制度として義務化するのは、少々乱暴にも思えるが、これまでのわが国男性の育児休暇取得率の推移をみると、それも致し方ないと思える。厚生労働省「2017年度雇用均等基本調査」で、育児休業取得率を見ると、女性は15年10月1日から16年9月30日までの1年間に在職中に出産した女性のうち、17年10月1日までに育児休業を開始した人の割合は83.2%と、前回調査(16年度81.8%)より1.4ポイント上昇した。

一方、男性のそれは5.14%と、前回調査(3.16%)より1.98ポイント上昇しているとはいえ、依然として低水準と言わざるを得ない。1996年の同調査では0.12%であったこと。また2012年調査から6年連続上昇中という結果を考えれば、その意識は上がってきていることは間違いない。

ただ、今後ますます女性の社会進出が進み、女性にさらなる能力発揮をしてもらうことが必要不可欠となる。高度経済成長期には「男は仕事、女は家事」という言葉もあったが、もはや時代遅れでしかない。

これについて内閣府が調査をしている。「男性は仕事、女性は家庭」という考え方について、男女全体では、14年調査では「反対」が増加し、過半数となった。

しかし、実際には男性の育児休業は思うように進んでいない。ある民間企業の調査結果によると、育児休暇を利用しなかった理由として、男性が女性を大きく上回っていたのが「業務が繁忙で職場の人手が不足していたから」「自分にしかできない仕事や担当している仕事があったから」「収入を減らしたくなかった」という回答だった。

いずれも、男性の意識の問題と言わざるを得ない面もあるが、筆者が訪問調査をしてきた育児休業を積極的に活用している企業では、その対策の一つとして、社員の多能工化・マルチタスク化が進められ、属人的な業務の削減が行われていた。

多能工化を進めることで、自分にしかできない仕事はなくなり、男性社員が感じる育児休業への後ろめたさも軽減されるはずだ。同時に、社内にはお互いさまの風土も醸成されるだろう。

自分の子供のための育児の時間を取りたくない男性はいないはずで、その促進のためにできることはまだまだある。

<執筆>
アタックス研究員・坂本洋介
2019年5月28日フジサンケイビジネスアイ掲載
 
 

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