知恵の経営

第210回

サンタ公認の豪雪用除雪機

アタックスグループ 2019年9月3日
 
新潟県燕市に雪深いフィンランドのクリスマス財団認定の除雪機メーカーがある。1865年(慶応元)年創業のフジイコーポレーションで、除雪機以外にも草刈り機などを製造・販売している。今では主力製品となった除雪機は1972年、農閑期の冬に生産できる製品として歩行型から製造を開始した。83年、藤井大介氏が社長に就任。以降、積極的に輸出するようになったところ、2007年、「サンタクロース公認除雪機」として、フィンランドのクリスマス財団から認定されるに至った。それ以来、同社のロゴマークはサンタクロースである。

評価されたのは、世界でも有数な豪雪地の新潟で、設計から開発・製造まで全て自社で行い、レベルの高い技術力が培われた点だ。日本海側の雪は水分を多く含むため、積もると硬くなり、また湿った雪は重くて飛びにくい。大手メーカーが大量生産している家庭用除雪機では硬くて重い雪には深く入り込みにくい。大手2社は、家庭用除雪機に焦点を絞り、国内では80%のシェアを占める。これに対しフジイは、国内外問わず、対象顧客を業務用や豪雪地の利用頻度の多いユーザーに絞り、難易度の高い製品作りに取り組んできた。

国内では、JR北海道、JR東日本、JR東海、JR西日本各駅、国土交通省、航空自衛隊千歳基地、当別分屯基地。また海外では、南極観測基地(あすか基地、みずほ基地、イギリス、イタリア、アルゼンチン)などで導入されている。今年も日本の基地に納入した。特に南極観測基地では、性能の良さを目の当たりにした各国基地が、同じものが欲しいと注文する。当初から、有名な地域やユーザーに除雪機を納品し、高難易度市場における信用を獲得、認知度の向上に努めてきたことが功を奏している。

もう一つは人財育成だ。フジイには新入社員全員を対象にした「ものづくり道場」がある。70歳を超えた社員が道場主となり、業務内容の把握のため、職種を問わず、実際に溶接などの技術を活用した課題が与えられ、最終的には卒業作品を作成させている。さらに、職人の技術・技能のベースとなる要素技術の国家資格の取得が推奨され、知識と技術の習得に極めて熱心だ。

さらに、製品は海外で活躍することも多いため、社内の「内なる国際化」にも取り組み、毎年のように、外国人を受け入れ、技術者研修に対応することで、内勤者にも海外を体感させている。海外を意識した社内の体質構築につながり、国際人財の育成に力を注いでいる。

その結果、世界中のどんなに厄介な雪にも対応できる高性能な製品を作ることできる社内体制が整備され、国内外から高い評価を得るようになった。

<執筆>
アタックスグループ主席コンサルタント・西浦道明
2019年9月3日フジサンケイビジネスアイ掲載
 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。


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