知恵の経営

第166回

変化の時こそ理念が大切

アタックスグループ 2018年7月23日
 
当社では「アタックスアカデミー」という社員研修を継続的に行っている。講師はテーマごとに社内の専門コンサルタントが担当し、受講生は現場で働く中堅社員たちだ。筆者が先月の講義で語った経営理念の意義と経営に与える効果について考えたい。

経営理念とは「わが社の存在価値」の宣言であり、航海に例えれば船を導く北極星のような星だ。星に導かれた船が遭難することはない。つまり理念の実現を目指したビジョン・戦略を策定し、実行すれば会社は長期的に発展できる。社員全員が行動指針とすれば、良き社風づくりに貢献できる。経営上の問題に直面したときには、理念に従って問題解決に当たるクセができれば「ぶれない判断基準」という武器を持つことになる。

食品偽装、素材の品質偽装などの不祥事がときどき起きるが、その会社にも立派な理念がきっとある。理念が守るべき行動指針として社員に腹落ちしていれば不祥事は防げたはずだ。

一方で、日本各地には評判の良い会社が数多く存在しているが、その代表格に「かんてんぱぱ」などの商品で有名な寒天メーカーの伊那食品工業(長野県伊那市)がある。

同社の経営はトヨタ自動車の豊田章男社長が手本にしているほどで、収益も年輪の如く少しずつ毎年成長するのが望ましいという「年輪経営」を行っている。経営理念は「いい会社をつくりましょう。~たくましくそしてやさしく~」である。

筆者は一昨年、ロータリークラブの会長として会員とともに訪問した。実質的創業者である塚越寛会長から話を聞くと、理念通りの経営を行い、社員を第一に考え、大切にする良い会社であると実感した。

ところで経営の神様といわれた松下幸之助氏も、理念の大切さを強く主張した経営者だ。「経験を通じて感じるのは経営理念というものの大切さである。いいかえれば“この会社は何のために存在しているのか。この経営をどういう目的で、またどのようなやり方で行っていくのか”という点についてしっかりと基本の考え方を持つということである」(実践経営哲学から)と語っている。当初から明確な理念を持っていたわけではない。あるきっかけがあって理念を持った結果、使命感に燃えて仕事に取り組むことができるようになったと語っている。

筆者も自ら事業をスタートさせて約40年となるが、途中で経営理念である「アタックスウェイ」を明文化し、その後の経営に迷いがなくなったと実感している。日々の経営判断、あるいは困難に遭遇したとき、理念に立ち返って考えるクセをつけることで、迷いや悩みから解き放された。

変化の激しい時代こそ、不易流行の例えではないが経営者は自社の存在価値を不易の理念として守りつつ、変化に対応するビジョン・戦略を策定し、会社のかじ取りをすべきである。

<執筆>
アタックスグループ主席コンサルタント・丸山弘昭

2018年7月23日フジサンケイビジネスアイ掲載
 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。


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