知恵の経営

第250回

コロナ対策 自社技術で貢献

アタックスグループ 2020年7月14日
 
7月に入っても、いったん収まりつつあった新規感染者数が再び増加傾向になるなど、新型コロナウイルス感染拡大の影響が収束する気配はいまだない。

そんな中で、別の産業に従事していた多くの大企業が不足している医療用マスクや医療防護服を作ることで、医療従事者・医療機関を支援するという動きも見られた。また中小企業でも、自社の特徴・技術を生かした新型コロナ対策のための製品作り・素材提供を始めているところも多くある。

浜松市で、各種ばねおよび関連製品の製造販売を行う沢根スプリングでは、マスクのひもに引っ掛けることで耳が痛くならない「耳痛くなイヤー」を製作した。新型コロナの感染拡大防止のため、社員が勤務時間中、マスクを着用していたことがきっかけだった。8時間着用していることで、どうしても耳の後ろが痛くなる。そこで、同社は各種ばねを製造販売していることもあり、ばねに使用するワイヤを利用して、マスクの両ひもにフックを引っ掛けて使用するイヤーフックを製作してみたところ、耳が痛くならないと、社内で評判となった。

同社では、同じ悩みを持つ方のために、1つ100円で販売したところ、4月29日の販売から、わずか2週間ほどで2000個の注文が入り、さらに2カ月で約5000個を販売したという。

また東京都品川区で、日本茶を中心とした食品包装資材の企画、製造、販売を行う吉村では、コロナ対策への社会貢献として「飛沫(ひまつ)感染防止シールド」を送料のみで無償提供している。同社のグラビア印刷工場で、印刷後に使用せず廃棄予定となった透明フィルムを飛沫感染防止用のシートとして活用できないかと思いついた社員のアイデアがきっかけだ。役立ててもらおうと、客からの飛沫感染対策に取り組む店舗、事業所、防護服が入手しづらくなっていた医療施設を対象に無償提供した。

提供を受けたある医院からは、厚さ約0.04ミリ、幅約46センチ、長さ約20メートルの透明タイプフィルム1セットから、6~7人分の防護服を作ることができたという感謝の手紙も届いた。

今回紹介した2社以外にも同様の事例は数多くあるが、いずれの会社もこれをビジネスとして考えているわけではない。新型コロナの影響で苦しい時期に、知恵を絞りながら、自社の業務の周辺でできる自社の技術・特徴を生かせる、自社だからこそできるコロナ対策・社会貢献を果たそうと取り組んだのだ。


アタックス研究員・坂本洋介
2020年7月14日フジサンケイビジネスアイ掲載
 
 

プロフィール

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顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。


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