知恵の経営

第237回

事業承継に関する3つの質問

アタックスグループ 2020年3月24日
 
筆者は日頃から多くの社長の相談に乗っている。相談の内容はさまざまであるが特に最近は事業承継に関することが多い。そんな時、筆者は社長に3つの質問をする。

1つ目は「継がせるべき事業かどうか」。現在は変化の激しい時代であり、絶えず変革が必要である。「ここに10億円の現金がある。30年前の年金と仮定して、今の事業を新たに始めるか」。社長の答えが「他のことをしたい」のであれば子供には継がせないことになる。どうしても継がせたいのであれば社長が元気なうちに子供と力を合わせて継がせたい事業に変革させることである。

2つ目は「後継者にふさわしい子供はいるか」。社長は自己の成長に合わせて事業を拡大し、自己の経営手腕と事業規模のバランスがとれている。しかし、後継者は実力以上の事業を引き継ぐこととなる。この子ならやれそうと期待できるのであれば、幼少期から教育をして準備することがベストである。

3つ目は「会社は承継できる状態か」。将来性のある事業で技量が備わっている人物がいても経営環境が整備されていなければ承継は難しい。自社株を上手に渡す相続対策に加えて、経営そのものが円滑にバトンタッチできることが事業承継では極めて重要である。

1つ目と2つ目の答えは大変難しい。社長が事業の将来を予測し、後継者の力量を判断し事業承継させるべきかを決断することになる。近年は事業の将来性があっても後継者難で事業売却するケースも多い。3つ目の整備は比較的容易である。確かなことは後継者がリーダーシップを発揮しやすい「良き社風」と「経営管理のしくみ」を構築することである。良き社風づくりの基本は会社の存在価値を経営理念として定め、社員全員に浸透させることである。

他方、経営管理の仕組み作りも理念・戦略を実現する組織運営には欠かせない。(1)環境変化を考慮して中期経営計画を策定(2)年度方針と予算(制度)を確立しボトムアップとトップダウン両面から挑戦的な目標を作成(3)月次決算制度と業績管理制度を確立し、経営状況を常に把握し未達の場合は対策を立案(4)社員が目標を持って仕事に励む目標管理制度と貢献に報いる人事評価制度の確立(5)社員の成長と能力発揮を支援する教育研修制度の構築(6)社長が全てを判断しなくても組織が運営される職務権限規定、決済権限の整備運用、毎月開催される取締役会によるガバナンス(法令順守)強化と取締役・執行役員・部門長の情報共有、経営課題の検討の場づくり(経営会議)-などである。

先行き不透明で変化の激しい時代の事業承継は簡単ではないが事業承継で悩む社長の参考になれば幸いである。

<執筆>
アタックスグループ主席コンサルタント・丸山弘昭
2020年3月24日フジサンケイビジネスアイ掲載
 
 

プロフィール

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顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。


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