知恵の経営

第116回

イノベーション成功の3条件

アタックスグループ 2017年5月22日
 
ドラッカーの代表作に「イノベーションと企業家精神」がある。言わんとするところは、企業家が行うイノベーションが企業の永続的な発展につながり、社会変革をもたらす原動力であるということだ。デフレ経済環境にある今こそイノベーションが求められる時代ではないか。

ドラッカーはイノベーションの機会は7つあるというが、最初の3つが特に重要と考える。

1つ目は、予期せぬ成功(あるいは失敗)を利用する。2つ目は、誰もがそうあるべきものと現実にあるものとのギャップを探す。3つ目が、まだ顕在化していない潜在的なニーズを探す-である。

1つ目の「予期せぬ成功」はドン・キホーテが適例ではないか。創業者の安田隆夫氏が苦肉の策として始めた深夜営業の「がらくた物販売」が想定外に成功した。筆者とも親しいカレーハウス、ココ壱番屋の創業者・宗次徳次氏も同様のことを言っている。セブン-イレブンを成功させた鈴木敏文氏は、事業を成功に導くためには「仮説・実験・検証」の繰り返しが重要だといっているが、仮説を「予期せぬ成功」と考えれば同じことではないか。とにかく大事なのは十分考え抜いた上で「まずやってみる」姿勢である。

2つ目の「ギャップを探す」と3つ目の「潜在的なニーズを探す」は、新事業(新製品・新サービス)を発想するためのマーケティング活動と考えればよい。筆者の持論は「マーケティング活動は“不”を探すこと」。「不」とは不便、不満、不安、不快といったことだ。

身近な企業家で自ら体験した「不」を事業化し、成功した経営者が結構多い。クラウド会計で急成長中のFreeeも、佐々木大輔社長がベンチャー企業の最高財務責任者だったとき、不慣れな会計業務に大変不便を感じていた体験が元となり、「AI・クラウド」で会計処理を行う事業を思いついた。

また、宅配便の再配達が人手不足で社会問題化し、宅配BOXが脚光を浴びている。日本宅配システムの浅井泰夫社長は、20年以上前に自らが不便を感じた宅配便受け取りを宅配BOXで解決する事業をスタートさせたパイオニアだ。「不」を探し、その解決策を提案することがイノベーションにつながる。
ドラッカーはイノベーションを成功させる3条件を、(1)(分野を)集中しなければならない(2)強みを基盤としなければならい(3)経済や社会を変えなければならない-という。事業の成功は、企業のミッションは何か、顧客は誰か、顧客の認める価値は何か、という質問に経営者が答えを出すことが大事とも言っている。

この点も考えて、イノベーションにチャレンジされることを期待したい。

<執筆>
アタックスグループ主席コンサルタント・丸山弘昭

2017年5月22日フジサンケイビジネスアイ掲載
 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。

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