知恵の経営

第148回

無人化技術で世界一目指す

アタックスグループ 2018年2月12日
 
独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となった結果、高収益を獲得・維持している企業を紹介している。今回は生産ライン自動化の専門メーカー、ウインテック(愛媛県東温市)の池クジラぶりを見ていきたい。

同社は1980年1月、駄場元(だばもと)定生社長が31歳で創業した。起業から15年ほどは、もうけたい一心で安物部品を使ったりしたためクレームが殺到し、売り上げも利益も伸びない悪循環に陥り、社員の多くが会社を離れていった。

悩み続けた中、ある経営者から「利益を出したいならお客さまに喜んでもらうことが先だ」と教示され、「一流のものをつくる」と決意。何が必要かを真剣に考え、「本当の仕事」という冊子を作った。社長の思いをつづった仕事への心得、向き合い方であり、同社の経営理念に他ならなかった。以降、社員と協力会社のモチベーションを高めることが社長の最大の仕事となった。同社には「WinWin会」という三十数社で構成される協力会がある。この高い技術力とこだわりの仕上げ力が品質を支えている。

当初はよい仕事は遠くにあると思い込み、東京などの大都市に営業に出かけたが、ある経営者から「取引先はすべて愛媛の会社だ」と教えられる。愛媛には大手の製紙会社が多くある。そこで地元に向けて開発したのが、現在の主力商品、国内シェア85%の蛇行修正装置だ。

同装置は薄くて長い帯状の原紙を使う紙おむつなどのサニタリー製品の生産ラインには必須だ。長い帯状の原紙を扱う場合、生産スピードが上がるほど原紙は蛇行する。複数種の紙の層で構成される製品は、重ね合わせる工程で紙が蛇行すると不良品が多発するため、この装置が欠かせない。従来の装置は形状がゴツく、重量もあって持ち運びできず、故障も多かった。ウインテックの製品はカーボンロールを標準装備することで軽量化し、ブラシレスDCモーターの採用や独自設計の機構で、高速動作にも高い耐久性がある。装置が壊れないため、定期的なメンテナンスを必要としないという特徴があった。

さらに紙おむつ生産ラインで使用するロールも開発した。従来は炭素繊維を炉で熱していたため製作に1本8時間程度かかっていたのを樹脂に炭素繊維を混ぜて金型に流し込む方法を考案し、15秒までの短縮に成功。重量も従来品の半分程度と軽量化し、紙おむつの生産スピード向上を実現した。

同社は、無人化技術では性能世界一の専門メーカーを目指している。そして、蛇行修正装置のみならず原反自動継装置や自動袋詰装置などを次々と開発してきた。国内に止まらず、米航空宇宙局(NASA)などの依頼もある。こうして同社は難易度が高い「生産ラインの自動化」を請け負う専門メーカー市場(池)のクジラとなった。

<執筆>
アタックスグループ主席コンサルタント・西浦道明

2018年2月13日フジサンケイビジネスアイ掲載
 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。

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