知恵の経営

第163回

ぶれないホテル業

アタックスグループ 2018年6月25日
 
ホテル業をはじめ、介護業、マンション管理業、そして人材派遣業などを展開する、スーパーホテル(大阪市西区)グループがある。中核はいうまでもなく、ホテル業であり、現在、全国各地に125店舗、海外ではベトナムとミャンマーに3店舗運営する著名ホテルである。

同社の創業は1989年だが、今日のスーパーホテルを展開するのは、96年である。以来22年の歳月が流れたが、この間、店舗数はもとより、売上高も従業員数も右肩上がりに増えている。

同社のこれまでの成長発展の要因は多々あるが、その最大の要因は「人間力と感性をベースに自立型感動人間を育てて、社員とその家族を幸せにしたい」など、5つの創業者精神に基づくぶれない経営と思われる。

こうした“従業員とその家族第一主義経営”に共感共鳴した従業員が、創業者の熱き思いを顧客満足度を高めることにより、恩返しをしようと感動サービスを提供しているのである。

ちなみに、同社の全ホテルの平均稼働率は90%以上、より驚くのはリピーター率で、最近では70%以上という。こうしたこともあり、ある調査会社が毎年実施している「ホテル宿泊客満足度調査」(1泊9000円未満部門)では、直近でも4年連続ナンバーワンホテルとなっている。

近年、多くのホテル・旅館は、顧客満足度を高めることを重視するあまり、その担い手である従業員満足度が総じて低く、その結果として、従業員の離職や、働きがいの低下が顕著である。

ちなみに、従業員満足度を示す代表的バロメーターである、転職的離職率を見ると、ホテル業界全体の平均は10~20%と高いが、スーパーホテルは、わずか2%以下である。さらに言えば、月間残業時間が30時間をはるか上回るホテルが多い中、同社は10時間程度以下である。同社が支持されるゆえんがここにこそある。

また近年は、インバウンド(訪日外国人観光客)が増加する中、従来は8000円前後で宿泊していたビジネスホテルであるにもかかわらず、需給のバランスで値段を上げ下げしたり、顧客が困っているという足元を見て2万円とか、3万円といった、望外の価格を提示するビジネスホテルも正直多い。

こんなことをしていたら、顧客がやがて離れていくばかりか、誠実な従業員ですら嫌気がさすのは当然である。

こうした点から見ても、ぶれないスーパーホテルの経営姿勢は見事である。

<執筆>
経営学者・元法政大学大学院教授人を大切にする経営学会 会長 坂本光司

2018年6月25日フジサンケイビジネスアイ掲載

 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。

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