知恵の経営

第221回

AI開発もする在阪中小企業

アタックスグループ 2019年11月26日
 
新大阪駅から電車を乗り継ぎ40分ほど行った大阪府泉大津市にHCIという社名のものづくり企業がある。主事業は、柔軟材の加工・組立・検査などをする機械の研究開発と製造である。とりわけ、業界から評価が高いのは、ケーブルやワイヤ・チューブなどのより線をする機械やロボットシステムで、社員数は45人ながら、この分野ではトップブランド企業である。

創業は、今から17年前の2002年、創業者は現社長の奥山剛旭氏である。奥山氏は大学工学部を卒業し、ある機械メーカーでエンジニアとして勤務していたが、独立志向が強く、準備し、32歳の時、脱サラし同社を創業している。創業当初から下請け的経営を嫌い、他社ができない・やらないニッチ分野の独自の機械の設計製作をしてきた。

また近年では、創業当初からの強い思いであったロボット単体やロボットと他の機械を組み合わせた「ロボットシステム」の開発製造も行っている。同社では、AI(人工知能)の自社開発もしており、独自のAIを搭載した同社の機械やロボットシステムはとりわけ評価が高い。

わが国の工場の多くは、人手不足が年々顕著になってきており、とりわけ「5K」を余儀なくされている工場においては深刻である。こうした中、救いは難しい作業もできる人間に限りなく近いロボットである。

こうした時代を予見し、奥山社長はかねて、「AIとロボットで未来をつくろう」と、国内外の大学生やエンジニアたちに呼び掛け、求人活動に注力するとともに、はせ参じてくれた人財の育成や定着のための環境づくり・制度づくりを重点的に行ってきた。努力が実り、今や国内はもとより、ベトナムやインド、ミャンマーといった国々のトップクラスの大学を卒業したエンジニアの確保・育成に成功している。

驚くことなかれ、同社の社員の平均年齢はなんと31歳、また女性比率は40%であり、まさに新しいタイプのものづくり企業である同社の実績が次第に業界から高い評価を受け、今、著名なロボットメーカーや機械メーカーから技術提携の依頼や商談が殺到している。

元気なものづくり中小企業を見ると、いつの時代も問題は外部環境の変化ではなく、経営者の経営の考え方・進め方といわざるを得ない。

ちなみに、社名のHCIの由来であるが「HOPE・CREATE・INTERNATIONAL」の頭文字である。

<執筆>
経営学者・元法政大学大学院教授 人を大切にする経営学会会長・坂本光司
2019年11月26日フジサンケイビジネスアイ掲載
 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。


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