知恵の経営

第199回

アノ会社はなぜ設立当初から、こんな高度な仕事ができたのか

アタックスグループ 2019年6月4日
 
ITソリューション事業などで注目を集めるアクロクエストテクノロジー(横浜市港北区)を紹介したい。1991年に現代表取締役の新免流氏が設立したのが始まりだ。新免氏は大学の工学部建築学科を卒業後、クリエーティブなものづくりをしたいとの思いからゼネコンに就職した。しかし、理想とは程遠い、工程管理・価格管理が中心の仕事であったため、ITソフト開発会社に転職した。

そこでの仕事は大いにやりがいがあった。しかし、人材を派遣して派遣工賃を稼ごうとする会社の方針に納得がいかず、上司に「このままでは世の中の技術の流れに取り残される。派遣スタイルをやめませんか」と訴えた。しかし上司は提案に耳を傾けなかった。それをきっかけに新免氏は退社する。一方、妻で、副社長の新免玲子氏も勤務先の外資系金融会社で上司と意見が合わずに離職した経験もあり、2人は、自分たちが理想とする、社員が「働くことを楽しく思える会社」をつくろうと設立した。

設立当初から、コンピューターのプログラミング言語の一つでもある「Java」に特化した技術研究・開発に取り組んだ。その結果、Javaトラブルシューティングの解決率が100%、また利用件数も圧倒的トップとなり、技術力は大いに高まった。この技術力が一番生かされるのは、人の生死を分けるほど重要な異常検知分野で具体的には、高速鉄道運行管理システム、電力供給監視システム、自治体防災管理システムなど、国のインフラに関わるものだった。

設立当初から、なぜこんな高度な仕事ができたのか。その理由の一つは、技術の社内蓄積を進めてきたことにある。業界常識では、利益を出しにくい受託開発より、毎月安定収入が見込める派遣スタイルの方がありがたい。しかし、新入社員のうちから高いレベルの技術を身に付けさせたいという強い信念から、ほぼ100%自社内受託開発方針を採用した。

2つ目は、提案型のシステム開発を行っていることである。交通・電力・自治体といった大きなクライアントに、単に発注されたものをつくるにとどまらず、メーカーと共同で研究開発段階からプロジェクトに参加し、システム開発の心臓部となるフレームワークを自社開発している。また、社内での新技術開発も盛んで、自社開発製品によるクライアントの課題解決も行っている。

自社に蓄積した技術と人財力によって、国のインフラに関わる重要な業務に取り組み、安心を提供することで高い評価を得ることに成功した。人財力は、社員全員の話し合いで給与査定や社内ルールを決定する仕組みと、それで築かれた社風によるところが大きいようだ。

<執筆>
アタックスグループ主席コンサルタント・西浦道明
2019年6月4日フジサンケイビジネスアイ掲載
 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。


HP:アタックスグループ

このコラムをもっと読む 知恵の経営

同じカテゴリのコラム

革新ビジネスアワード2019投票受付中 革新ビジネスアワード2019表彰式&交流会参加者募集
キーワードからコラムを検索する