知恵の経営

第167回

深刻な事業所数の減少

アタックスグループ 2018年7月30日
 
今から約20年前、1996年の「事業所・企業統計調査」をみると、わが国に存在していた民営事業所数は約650万カ所であった。しかしながら、これを最新の2014年調査(経済センサス)でみると、約554万カ所となっており、この約20年間でなんと100万カ所の減少となっている。

少し乱暴だが、このスピードで事業所が減少していくと、111年後には、事業所がゼロになってしまう。

とりわけ、この間減少著しいのは、これまで経済を牽引(けんいん)してきた工場や小売商店である。事実、工場数の動向を見ると1983年の78万カ所をピークにその後一貫して減り続け、95年では65万カ所、そして2014年は40万カ所となった。

この約30年間で工場数は半減、この20年間で見ても、25万カ所と、1年間でなんと1万2000カ所の減少である。これまた乱暴な計算だが、こうした推移で行くと、33年後にはわが国の工場数はゼロになってしまう。

こうしたことは小売商店でも同様に進んでいる。事実、1982年の172万店をピークに、その後一貫して減少を続け、94年では150万店、そして2014年は103万店となっている。この約30年間で69万店、また約20年間では47万店もの減少である。

こうした事業所の大幅な減少の最大理由は、いかなる環境変化があったにせよ、雇用維持拡大業・変化適応業・市場創造業といった、企業本来の使命と責任を果たすことができなくなってしまった企業自身にあるが、決してそれだけではない。

その一つが、わが国を代表する大企業の理不尽な取引姿勢である。かつてとは言わないまでも、大企業は程度の差こそあれ、業績を高めているにもかかわらず、赤字や収支トントンの取引先中小企業に対し、相も変わらず低単価発注や、コストダウン、さらには極度の短納期発注などを強いているからだ。

こうしたことが重なれば、多くの中小企業は経営の未来に嫌気がさしてくる。力がある中小企業は、脱下請け・取引先離れを加速させ、一方、力が十分ない企業は、廃業の道を選択することになる。

こうした傾向は、わが国の産業社会にとってきわめて危険である。それは、そのことが結果として組み立て型産業化している大企業の国際競争力を衰退させてしまうからである。

誰かの犠牲の上に成り立つ産業組織で長期にわたって繁栄した産業は、歴史上存在しないことを肝に銘ずるべきである。


<執筆>
経営学者・元法政大学大学院教授 人を大切にする経営学会会長・坂本光司

2018年7月30日フジサンケイビジネスアイ掲載
 
 

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