知恵の経営

第220回

技術と人間力の錬磨続ける

アタックスグループ 2019年11月19日
 
埼玉県三芳町に大和合金という特殊銅合金の開発、製造、加工、販売を行う中小企業がある。1941年、現社長萩野源次郎氏の祖父である創業者が特殊銅合金を開発した。2代目の父は、国内でその用途や販売網を広げた。3代目の源次郎氏は海外展開を進めている。

大和合金の特殊銅合金は、自動車、航空機、半導体、鉄道、船舶、一般機械、光ファイバー海底ケーブル、熱核融合実験炉装置用材料、金型材料などに幅広く使用されている。今や航空機の離着陸を支えるランディングギア部品について世界を代表する航空機メーカーからも高く評価され、グローバルニッチトップになる日も近い。

ここまで成長した理由の1つ目は、その受注体制にある。一般に銅合金メーカーは、大手から図面や仕様書を受け取り、言われた通り製造を行う受け身の受注体制に甘んずることが多い。ところが、大和合金は、常に新たな技術開発に挑戦し、海外の幅広い先端分野に積極的に関わり、提案型で受注を獲得する攻めの体制を取っている。

理由の2つ目は、社内生産体制だ。溶解、鋳造、熱間鍛造、熱処理、検査まで一貫生産が可能な自社工場がある。そのため、超短納期依頼、少量生産依頼、規格にはまらない細かなカスタマイズ依頼、特殊で超高性能なニーズなどへの対応など、難易度の高い依頼が次々と舞い込む。その結果、ますます特殊銅合金に関する最新情報・ノウハウが蓄積していく。

そして理由の3つ目は、積極的な人財育成である。有名教授や大手メーカーの技術者を招聘(しょうへい)して行う技術講習、ジョブローテーションを頻繁に行っての複眼的な視野の形成、さらに多能工化への取り組み。禅と論語に学んでの人間力向上。また、希望があれば大学院に通わせ博士号を取得させるなど、社員が誇りと自信を持って働く環境を整えている。これが技術レベルを向上させている。

また人財採用でも、学校と企業を行き来しながら座学と実務訓練を長期に行う、ドイツ生まれの「デュアルシステム」を2013年から取り入れた。会社見学をしながら、安全面に問題のない範囲でモノづくりの現場にも携わってもらう。さらには、実習中は社員懇親会や社員旅行、音楽会などの会社行事にも参加をしてもらい、親睦を深める。その結果、新規学卒者の年間定着率は95%以上と高く、社内には家族的風土が生まれ、世代を超えたつながりも生まれている。

大和合金は創業以来、特殊銅合金一筋に、絶え間ない技術開発と人間力向上に取り組み、世の中から高い評価を得てきた。そして、特殊銅合金に関して他社はまねできない高難易度の相談に乗り課題を解決している。

<執筆>
アタックスグループ主席コンサルタント・西浦道明
2019年11月19日フジサンケイビジネスアイ掲載
 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。


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