知恵の経営

第272回

ウィズコロナ時代の生き方

アタックスグループ 2020年12月22日
 
このおよそ50年間、日本経済は幾度となく、未曽有の危機に直面してきた。何れも日本経済の根幹を揺るがす歴史的衝撃だったが、偉大な先人たちは、英知と努力を結集し、長短はあったとはいえ、いずれの危機も何とか乗り越えてきた。

しかしながら、2020年に入り、顕在化し、今も世界的に感染が拡大している新型コロナウイルスの猛威ほどの大きな衝撃と不安は、私たちがこれまで全く経験のしたことのない、予想だにしなかった出来事となった。それゆえ、これまでの経験値や社会経済対策が全くといっていいほど通用しない。

つまり、今回の「敵」は、私たちの目には、全くと言っていいほど見えないばかりか、社会のあらゆる場所に潜んでいて、いつ私たちを再び襲ってくるか分からない問題となっている。

一日も早い収束を願うばかりだが、もしも、事態が現状のような状況で長期化すると、やがて、大企業・中小企業を問わず、体力に限界のある企業の事業の統廃合はもとより、より深刻な倒産や廃業の続出も懸念される。そればかりか、そうした経営は、リストラの加速・拡大による雇用問題や、地域経済の空洞化問題も発生させていく。

こうした問題を最小限に食い止める最善の方法は、この方面の専門家が指摘するように2つしかないと思っている。1つは、私たち一人一人が、また企業が感染拡大の影響が収束するまでの間、我慢し、その原因をつくるような「3密」を意識して慎むこと。もう一つは、慌てふためくことが最も危険であり、今、私たちや企業に与えられた新しい環境・新しい現実を直視し、企業経営で最も大切なことを、愚直にやり続けることと思う。

これからの企業経営のあり方・経営の仕方や、私たち自身のあり方・生き方は、企業や私たちが、好むと好まざるとにかかわらず、大幅に変えざるを得ないと思われる。その方向・方策は、これまで、わが国経済を牽引(けんいん)してきた著名な大企業をはじめ多くの企業が実施してきた伝統的な経営の考え方・進め方ではない。

つまり、「業績重視」「損得重視」「勝ち負け重視」「ランキング重視」「シェア重視」さらには「効果・効率重視」といった、経済や企業の側面・価値を、ことさら重視したような経営ではないと思う。

これからの時代、そんなことよりもはるかに重視・大切にすべきことは、「命重視」「家庭・家族重視」「人重視」「生活重視」「善悪重視」「社会重視」さらには「幸せ重視」といった、人や家族の命や幸せという側面・価値を、ことさら重視する経営である。


経営学者・元法政大学大学院教授、人を大切にする経営学会会長・坂本光司
2020年12月22日フジサンケイビジネスアイ掲載
 
 

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顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。


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