知恵の経営

第196回

販売も開業も丸ごと支援

アタックスグループ 2019年5月14日
 
高収益を維持している中堅中小企業で、製パン・製菓機械の製造・販売、開業相談を行う愛工舎製作所(埼玉県戸田市)に注目している。同社は、1938年に代表取締役会長の牛窪啓詞氏の父親が創業したのが始まりで、40年には日本初の氷削機(かき氷製造機)を製造販売したことで知られている。長男の啓詞氏は、家業を継ぐことを意識して、大学卒業後すぐに入社している。74年、創業者である父親が病に倒れたため29歳の若さで社長に就任した。

50年代初頭、食品製造用機械の分野に目を向け、成長が見込まれた洋食に欠かせないパンやケーキ製造用のミキサーの開発・製造に着手したが、創業当初の氷削機製造における鋳造から塗装仕上げおよび販売までの経験が大いに役に立った。

啓詞氏が、社長就任後に取り組んだことが3つある。1つは顧客ニーズに合わせた製品開発。ミキシング技術をコアコンピタンスに、ミキサーをあくまで中心にしてきたが、お客がどんなニーズを持っているのかを丁寧にヒアリングし、対応できる製品開発を進めた。製菓・製パンの工程に必要な周辺機器開発にも力を入れ、オーブンやピザ窯、酵母発酵機、生地を丸めたりする専用機などもそろえていった。一流メーカーと販売代理店契約を結び、グローバルなビジネス展開を進めてきたたまものでもある。

そして2つ目が納品後のアフターメンテナンスや修理へのきめ細かな対応。同業他社の多くは、アフターメンテナンスの意識が低い。しかし、パン屋やケーキ屋は、土日でも営業しているため、製品に不都合があったとき、すぐに対応してくれることを望む。ローテーションによって土日でも社員が待機しており、直接現場に出向いたり、電話で説明したりしている。

3つ目は本社ショールーム。本社内の「Creative Aicoh Plaza」は、食文化に携わる人たちの交流の場づくり、また新技術創発の場づくりの多目的ホールであり、食品製造・製菓製パン製造技術や経営に関するセミナーの開催、実技講習会、研究報告会が行われている。付属のテストルームは、導入検討中のお客が、実際にパンや菓子をミキサーやオーブンなどを使って試作したり、新たなレシピを開発したりする場になっている。

さらに、これからパン屋やケーキ屋を新規開業しようとする人たちもやってくる。社員が開業の相談に乗り、店舗レイアウトも含め、お客がどうすれば成功できるか、徹底的に考え抜く。このショールームは、社員教育にも役立っている。

愛工舎は、製品販売から開業支援までトータルサポートを行う「パン屋・ケーキ屋繁盛支援業」という市場を築き、存在感を高めている。

<執筆>
アタックスグループ主席コンサルタント・西浦道明
2019年5月14日フジサンケイビジネスアイ掲載
 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。


HP:アタックスグループ

このコラムをもっと読む 知恵の経営

同じカテゴリのコラム

キーワードからコラムを検索する